はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

為政清明

2011-07-08 15:29:50 | はがき随筆
 明治維新の三傑のうち2人は薩摩の人である。
 西郷さんの「敬天愛人」は有名で、人口に膾炙(かいしゃ)されているが、大窪さんの「為政清明」は知る人ぞ知るである。
 さつま隼人なる粗雑の人々は西郷さんの生き方が尊くて、大久保さんの生き方は不本意であり、まねることはできないと考える。
 最近ある古本で大久保さんの偉大さを知ることとなり、再考を余儀なくされた。
 「我が前に桜島あり西郷も大久保も見し火を噴く山ぞ 海音寺潮五郎」
  鹿児島市 下内幸一  2011/7/6 毎日新聞鹿児島版掲載

幸運の雨傘

2011-07-08 15:22:20 | はがき随筆
 台風前日、近くのスーパーに豪雨の中、妻が行く。しばらくすると買い物袋を手に、ずぶ濡れで帰ってくるなり「置いた所を捜して見つからず、20年使いステッキ兼用の良い傘だったので残念ネ」と悔しがる。
 台風一過の翌日午後スーパーに行くと紛失の傘が戻っていたのに、びっくり。店員さんに連絡。帰ってくるなり、「雨傘が帰ってきたわよ、見てよ」。「良かったね」。2人でニッコリ。午後に知人が来られ「いただいた傘だけど、使って下さい」。ぶれ前途に偶然が重なり、心の梅雨空が暖かい青空に変わった。
  鹿屋市 小幡晋一郎 2011/7/7 毎日新聞鹿児島版掲載

華の同窓会

2011-07-08 15:08:55 | はがき随筆
 去る5月、高城東中の昭和34年卒の祝宴に呼ばれた。3年ぶりで関東勢8名など含め35名でまず記念撮影。彼らの還暦同窓会に招待されたのが平成16年。月日がたつのは早い。宴席は6名ずつの丸テーブル。4校区別の自己紹介、熱唱あり。股開き体操の男性に拍手。60歳になって車の免許を取得した女性は、最愛の夫が車椅子になったためとスピーチ。腎臓病で透析のため出席不可能な女性にクラスメートが「せめて励ましのメッセージを一言ずつ」と連署したのが印象的だった。2年後の古希の再会を約束して幕。
  阿久根市 松永修行 2011/7/6 毎日新聞鹿児島版掲載