はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

啓蟄から春へ

2014-03-22 15:21:14 | はがき随筆
 右脚を切って捨てたいと思った激痛で、早く退職してから、早いものでもう4年たとうとしています。その当時、痛み軽減にと思い、室内運動器具や体にいいと思われたイタリア製背もたれ椅子も購入しました。
 健康雑誌も買って健康体操にも努めました。健康補助食品もいいと思ったものは何でも試してみました。ワニ動作は効果があったようです。スッポン球も痛みが和らぎ、休みなしで400㍍歩けるようなりました。今も横断歩道での立哨は続けています。まだ痛みは完全に取れませんが、子供たちから元気をもらっている毎日です。
  いちき串木野市 新川宣史 2014/3/22 毎日新聞鹿児島版掲載

あの日の桜

2014-03-22 15:10:14 | はがき随筆
 40歳過ぎだろうと、実らずに別れが来ると分かっていても、恋に落ちるのは理屈じゃない。
 たまに残業の後、コーヒーを飲んだり、近所の定食屋に行くだけで充分だったあの頃。
 彼の転勤が決まり、辞令交付前夜は、私が家まで送り、翌朝早起きして迎えに。要望に応え、グレーのスーツに私が送ったネクタイを締めている。前の夜はおしゃべりな私だったが、これが最後と思うと寡黙になる。
 峠の途中、崖から突き出た1本の桜は満開で花びらが舞い、私の目からは涙がはらはらと。桜の老木は今はもう無いけれど、あの光景は決して忘れない。
  鹿児島市 本山るみ子 2014/3/21 毎日新聞鹿児島版掲載

春の味

2014-03-22 14:59:47 | はがき随筆
 橋さんの家に3人で行く途中、海岸沿いを通る時、運転の友から浜に下りようと誘われた。襟を立てて浜に立つと、黄褐色のワカメが幾重にもなり浜に打ち上げられていた。「昨夜風が強かったからね」と友が言う。ゆらゆらなぎさに打ち寄せるワカメ、見渡す茶色の海面に驚く。ビニール袋にワカメを詰めて橋さんの家に着く。早速湯を沸かし、庭のダイダイで酢じょうゆを作った。熱湯にワカメを通した途端、鮮やかな緑色になり、その美しいこと。ワカメしゃぶしゃぶで食した。春の海の味を満喫。海の幸に感謝した。この海が永遠にあることを祈る。
  出水市 年神貞子 2014/3/19 毎日新聞鹿児島版掲載

ジョウビタキ

2014-03-22 14:52:08 | はがき随筆


 今年は春の訪れがやや遅れたのか、いつもの野鳥たちは少し居残っていた。窓先まで伸びた枝に止まって、こちらの寝室を長いこと盗み見するのもいた。
 庭歩きをする。クックッと聞こえる。ジョウビタキ君だ。可愛い目といつまでも見合いをする。彼の得意のパフォーマンスは、杭先に乗ったり、下りたりして、こちらにアピールすることだ。
 夕暮れに急に飛び出されて驚いた。どうやら、庭の角に住み着いているらしい。私は思う。彼らは特に人懐こいけど、ひょっとすると人と鳥はもっと仲良しだったのかもと。
  出水市 松尾繁 2014/3/19 毎日新聞鹿児島版掲載

たくちゃん

2014-03-22 14:45:10 | はがき随筆
 たくちゃん、いよいよ卒業だね。私の名前を覚えていてねと言ったら、覚えられないからと“しみずまさこ”とノートに書いていた。ありがとう。
 2年間、養護学校でボランティアを始めた時、高校2年の彼の純真さは私を戸惑わせた。会話が苦手な彼と意志の疎通ができるとは思えなかった。でもある時「たくちゃんは私の言うことが分かっている」と気付いた。そして、彼の純真さは神様の贈り物だと思えてきた。いまではすっかり仲良しよね。あれっ、私の片思いかな? たくちゃんのこれからの人生がどうぞ平安でありますように!
  出水市 清水昌子 2014/3/18 毎日新聞鹿児島版掲載

ブログ記念日

2014-03-22 14:33:01 | はがき随筆

 3月12日は、私の「ブログ記念日」である。
 昨年、子供たちのアドバイスで、タブレットを購入してブログを始めた。ブログのタイトルは「ことだま日記」と命名することにした。記念すべき第1号は「鮮やかに咲く岩ツツジ」と題して、写真にコメントを書いて発信した。
 以来、今日まで新鮮な日々に感動しながら、ほぼ毎日ブログを作り、楽しんでいる。
 作品は既に300余りになり、ついに「ブログ記念日」を迎えた。記念の日は妻が「サラダを作って祝いましょう!」と、腕をふるってくれた。
  志布志市 一木法明 2014/3/17 毎日新聞鹿児島版掲載ことだま日記はこちら

町の魚屋さん

2014-03-22 14:23:40 | はがき随筆
 「こんにちは、魚屋で~す」と大将の元気な声。注文した魚の他に、大根と焼き芋のおまけが付いてきた。妻は好物のホカホカ芋に大喜びである。
 時折いただく野菜は、農家のお客さんの置き土産らしい。店が愛される証であろう。おかげで我が家は助かっている。
 配達をしてもらうようになったのは8年前、妻が右半身不随になってから――。電話で品物を頼むと、夕刻に気持ちよく届けてくれる。暖かい心のご夫婦に感謝!感謝!である。
 これからも信頼される魚屋さんとして、町の人たちに新鮮な魚介類を提供してください。
  出水市 清田文雄 2014/3/16 毎日新聞鹿児島版掲載