はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

春を送る

2014-03-23 18:10:07 | はがき随筆


 芽吹きの時になり、日差しのぬくもりは増し、暖かさに誘われ庭に立つ機会も多くなる。晩秋から彩りを添えていた山茶花や詫助も色あせて、椿の出番になり、河津桜の花弁が舞う。餌台に来ていたウグイスも藪に入りさえずりを始めた。その声を聞きながら一雨ごとに膨らむ木の芽を見て回る。そんな移ろいが楽しめるこの季節が好きだ。このぬくもりを娘たちに送ろうと思いついたのは妻で、内之浦産のタンカンを送る。娘たちからは「大雪で野菜が高騰する折、ビタミンが有り難い」という言葉。そうだ、新緑は心のビタミンかもしれない。
  志布志市 若宮庸成 2014/3/23 毎日新聞鹿児島版掲載