おいちゃんが家から出てきた。道ばたで遊んでいるボクに「ロイ行くよ」と声を掛ける。散歩のお誘いだ。犬じゃないのに。気まぐれな猫だぞボクは。何の因果で人間と一緒に歩くの。と、最初は素知らぬ顔をしいてた。
でも飼い主への義理もあり、おいちゃんの楽しみに付き合いだした。ボクが他の事に目を奪われていないかと、彼は振り返りつつ前を歩く。この町内の新参者のボクとしては、古株の猫の気配を感じれば、にらみ合いも必要だ。草のおいしそうな香りがすれば、試食もする。「ロイこっちだよ」。また呼んでいる。はいはい、お供しますよ。
鹿児島市 高橋誠 2014/3/24 毎日新聞鹿児島版掲載
でも飼い主への義理もあり、おいちゃんの楽しみに付き合いだした。ボクが他の事に目を奪われていないかと、彼は振り返りつつ前を歩く。この町内の新参者のボクとしては、古株の猫の気配を感じれば、にらみ合いも必要だ。草のおいしそうな香りがすれば、試食もする。「ロイこっちだよ」。また呼んでいる。はいはい、お供しますよ。
鹿児島市 高橋誠 2014/3/24 毎日新聞鹿児島版掲載