赤ん坊や幼児、女子高校生らが犠牲となる悲惨な事件が全国で相次いでいる。栃木県日光市(旧今市市)の小学1年、吉田有希ちゃん(当時7歳)が2005年12月、下校途中に連れ去られ殺害された事件。ご両親の胸中を思うと言葉がない。我が子に食事を与えず、衰弱死させた保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕された父親には言葉がない。なぜ、そんなことができるのか。信じられない。
「子ども虐待防止ネットワーク会議」で5月、13年度の県内の虐待認定件数が報告された。なんと452件で過去最多主なものは、身体的虐待が79件、ネグレクト(育児放棄)45件、性的虐待7件。
子どもの頃、私の古里の町内の親子げんかや夫婦の不和、子どもの非行などは“筒抜け”だった。万引きや不純異性交遊で補導されたなども。今や不純異性交遊という言葉は死語か。それだけ、近所付き合いがあったという証しでもある。「そんな事で補導されるなんて」「警察のお世話になるとは……」。昭和の時代は、世間の目や恥の文化もあって非行や犯罪に走らせるのを思いとどまらせていたと思う。
私が正月や盆に熊本の実家に帰省しても、町内で暮らす人の顔が分からない。竹馬の友は私同様、県外で働き、親も80歳代以上で、既に無くなった人も多い。若い夫婦も共働きが多く、町内会活動への参加はない。だから「お隣さんの様子がおかしい」と感じたり、関心を寄せることもない。県中央児童相談所は「周囲の目が大切」と呼びかけているが、その通りだと思う。
W杯が始まり、日本代表に3人を送り出し本県も盛り上がっている。ギリシャ戦は20日午前7時、試合開始。遠藤保仁、大迫勇也選手らには幕末の志士のごとく大いに活躍してほしい。鹿児島をサムライブルー一色にして声援を送りたい。
鹿児島支局長 三嶋祐一郎 2014/6/18 毎日新聞鹿児島版掲載