夫の友人からたくさんの梅をいただいた。深夜まで奥さまと選別されたという梅は、赤く熟し、孫たちの大好きな砂糖煮に最適だった。感謝しつつ、翌日早朝から台所のこんろと、庭に練炭をおこし2カ所で煮始めた。家の中も外も甘酸っぱい空気に包まれた。
そんな中、「梅の木が彼にまわってきたのか」と夫がぽつり。それは、彼が学生時代、農作業が大変な両親に、畑に梅の木を植えることを勧めたのだという。定年後、郷里に帰り、親の介護をしながら田畑と向き合い、農業に汗を流されるお二人の姿は、とても尊くまぶしい。
出水市 塩田きぬ子 2014/6/28 毎日新聞鹿児島版掲載