はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

少年の頃の追憶

2014-09-07 23:06:43 | 岩国エッセイサロンより
2014年9月 4日 (木)


岩国市  会 員   角 智之

 今年の8月は長雨で墓掃除と墓参を同時に行った。墓のふもとには権現山というほこらがあり、絶好の遊び場だった。かくれんぼで隠れた大きな杉の木もハシゴを使わないと登れなくなっていた。川辺の大きな石もだいぶ取り除かれている。それでも昔からある岩に座ってみた。
 ここで時のたつのも忘れてハヤ釣りに興じた。みんなどうしているかな、アッちゃん、タ―ちゃん、ヨッちゃん。まっ黒に日焼けした少年たちはどこへ行ったのか。川での水泳は禁じられているのだろうか。塾通いか室内ゲームに興じているのか。隔世を感じる一日であった。
 (2014.09.04 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載


轍を踏むな

2014-09-07 03:59:32 | ペン&ぺん


 お盆も終戦記念日も終わり、皆さんはどのように8月を過ごされましたか。9月1日は関東大震災(1923年)を忘れないよう設けられた「防災の日」。今夏、全国各地が記録的豪雨に見舞われた。広島市北部を襲った広島土砂災害は多くの命を奪い、゜自然の怖さを思い知らされた。
 新聞やテレビで広島の惨状を見た多くの方が、100年に1度とされた鹿児島の「8.6水害」(93年)を思い出されたに違いない。私たちは鹿児島や広島の教訓を防災や生き残るため心に焼き付けなければならない。自分が暮らす地域はどんな土壌構造なのか。避難場所。家族に要介護者がいるならば、いざという時にどのように避難するのか――など見直す機会だ。ご近所との情報交換、互助も大事で、何より早めの避難を心がけたい。
 「東日本大震災の際にお世話になったから」と東北の震災被災地から大勢のボランティアが広島に集まり、炎天下に被災家屋の後片付けに汗を流している。仕事とはいえ、警察や消防、自衛隊による土砂撤去や捜索、救出作業には頭が下がる。手伝いたいが「仕事で行けない」「気持ちはあるが、高齢で体力に自信がない」など、もどかしく思っておられる方は毎日新聞の「8月豪雨災害救援金」で協力できる。8月30日付本紙26面の告知記事を読んでほしい。
 MBC気象予報士、亀田晃一さんの「亀ちゃんのお天気百話『幻の最高気温46・4度』」も、平成に生きる私たちの戒めにしたい。このエッセーは時に気象と日本、鹿児島の四季、行事などとの関係を分かりやすく紹介してくれている。31日付エッセーで「大地震は必ず来る」「同じ轍は踏みたくない」と結んでいる。台風はこれからも来襲するだろう。桜島もいつ大噴火するか分からない。もう一度、周囲を見回して万が一に備えたい。
  鹿児島支局長 三嶋祐一郎 2014/9/1 毎日新聞鹿児島版掲載