はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

彼岸花 

2015-09-23 13:39:01 | はがき随筆


 濁流が「ゴーゴー」と音を立てて不知火海へ流れている米ノ津川。そのまわりでは青々と稲穂が秋の収穫へ向けて揺らいでいる。雄大な矢筈岳がドーンと見守っている。あぜ道には極楽浄土みたいに彼岸花が紅をそえている。子供の頃いっぱい手にとって匂いをかいでみた。茎が苦かった。走ってみたら、その頃にもどれた。この秋には久しぶりに彼岸花が見れる。親鸞は「人が逝ったお盆にも彼岸にも二度とこの世に帰ってこない」と説いているけど、彼岸花の陰から両親がほほ笑んでいた。そっと手を合わせたら、この世の煩悩も消えさった。
  札幌市 古井みきえ 2015/9/23 毎日新聞鹿児島版掲載

彼岸花

2015-09-23 13:33:25 | はがき随筆


 秋が静にやってきているなあと思いながら庭を歩いていると、あっ、見つけた。彼岸花のつぼみ。真っすぐに茎を伸ばし花を咲かせる時を待っている。
 二十数年前、M小学校の運動場のフェンス沿いに、真っ赤な彼岸花が毎年、群をなして鮮やかに咲きほこっていた。まるで子どもたちの運動会の練習を見守ってくれているかのようで、ホッと心がなごんだ。
 彼岸花の季節になると、その美しい光景が目に浮かぶ。だれが植えたのであろう。その彼岸花。今年もきっと花を咲かせ、人々の目を楽しませてくれていることだろう。
  出水市 山岡純子 2015/9/22 毎日新聞鹿児島版掲載