はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

孫のため久々に料理

2016-03-11 23:22:28 | 岩国エッセイサロンより
2016年3月10日 (木)
    岩国市   会 員   山本 一

 ある日、私一人で5歳の孫息子の子守をした。 
 昼食前、たまたま冷蔵庫に消費期限の近づいた豚肉があるのを発見。せっかくだから処分して妻を喜ばせようと、孫に「焼きうどんは好きか」と聞いた。
  「どんなの。じいちゃんが作るの」と、彼は不安そうな目。「うん、上に目玉焼きを半熟で載せるよ」と彼の大好物をちらつかす。 「じゃあ、食べてもいい」と少し生意気な返事だ。
 お好み焼き用ソースを、どさっ。さらに、彼の大好きなマヨネーズをこれも目の前で、どん。1時間かけて、やっと完成した。何年ぶりかで料理をしたので、どっと疲れが出た。
 孫は、2口くらい食べて大声で「うまい」と言い、あっという間に完食した。だが、「お代わりは」と聞くと、「もういらない」。本当においしいときは、際限なく食べるものだが、と少し気になる。
 帰宅した妻が残りを「おいしい」と言って食べた。が、孫にも妻にも心配りされたようで、何だか後味が良くない。 

     (2016.03.10 中国新聞「広場」掲載)岩国エッセイサロンより転載