はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

愛猫まりん

2019-04-02 12:05:29 | はがき随筆

 まりんは我が家に突然現れた。今ではもう捨て猫とは呼ばない。頂いた置き猫だ。子猫らしくよくじゃれる。紙を丸めてボールにし、廊下を転がすとしばらくは一人でサッカーをして遊ぶ。庭に出ると動くものにはすぐ飛びつく。食事は一日2食。もうすっかり大人びてきた。

 まりんの鳴き声や行動に変化が見られるようになった。予想していたことが起きたようた。ペット病院に連れて行き、避妊手術をした。連れて行くのもつらかったが、手術に耐えられたろうかと熟睡できなかった。翌朝迎えに行き、帰り着くなり夫婦交代で頬ずりした。

 鹿児島県志布志市 一木法明(83) 2019/3/31 毎日新聞鹿児島版掲載

 


春の風物詩

2019-04-02 12:00:44 | 岩国エッセイサロンより

2019年3月30日 (土)

   岩国市  会 員   森重 和枝


 この地区は、錦川漓流線の沿線にあり、電車の通る時間が時計代わりになる。昼前の下り電車が近づく。畑仕事を切り上げ、立ち上がると、一面の菜の花としゃがむ人影が見えた。シャッターチャンスを狙うカメラマン。桜と菜の花の中を走る電車の構図は人気らしく、時刻表に合わせて県外の車が並ぶ光景は今では、この時期の風物詩だ。

 菜の花は20年前から村おこしのイベントに始められた。不作の年もあったが、今年は上出来だ。桜も咲いてくる。青空と黄色の景色に、腰の痛みも和らぐ。食卓にも春を添えるため、摘んで帰ることにしよう。
   (2019.03.30 毎日新聞「はがき随筆」掲載)


春の喜び

2019-04-02 09:44:29 | はがき随筆

 台所の立ち位置から西側の窓越しに目をやると、田んぼの用水路の土手に菜の花が群生しているのが見える。

 昨晩からの雨は降り止んで、満開に咲き誇る黄色い菜の花はしっとりと風に揺れ、ひときわ存在感を放っている。そのさまはまるで地上におりたオーロラのよう。そこには人の手を加えなくても毎年、自然の優美な風景が巡ってくる。

 これから自宅の庭も次々に宿根の一連の開花が始まる。そして初夏の訪れにバトンを渡し、芍薬の硬い蕾が天へ向かって伸びる頃、我が家には待ちに待った喜び事がやってくる。

 宮崎県都城市 蔀なおこ(57) 2019/4/2 毎日新聞鹿児島版掲載