はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

一番一番一日一日

2020-10-05 20:55:59 | はがき随筆
 大相撲秋場所のインタビュー。「一番一番自分の相撲をとっていきます」など、多くの力士が一番一番の言葉を使って答えていた。
 私は70歳を過ぎ知力体力の衰えが加速、さらにコロナ問題・異常気象による災害と不安は増すばかり。一日一日を無事に過ごすことで精いっぱい。
 そんな中、教育テレビで講師の先生が、今のことに集中して生きることは禅の道に通じるというような意味の話をしておられた。そうか一番一番一日一日、目の前のことに集中して生きることでいいんだと納得。そのうち何か見えてくるだろう。
 熊本県八代市 今福和歌子(70) 2020/10/2 毎日新聞鹿児島版掲載

祖父の骨

2020-10-05 20:48:45 | はがき随筆
 40年前、母方の祖父の遺骨が本人のものと判明したと新聞に掲載されたことがあった。
 母方の祖父は、旧満州で捕虜になり、ウランバートルで亡くなったそうだ。
 母は兄1人、弟2人の一人娘。祖父には特別かわいがられたと聞いている。
 終戦当時、母は15歳だった。祖母が4人の子どもを連れ出水郡野田郷に引き上げ、祖父の帰りを待ち続けた。いつかひょっこり帰ってくるかも、いや現地で元気に暮らしていてくれてもいい。母の切ない望みは遺骨の判明ではかなく散った。今年あの世で再会できただろうか。
 鹿児島県霧島市 池之上あひる(60) 2020/10/1 毎日新聞鹿児島版掲載