はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

小鳥たち

2021-04-11 17:14:21 | はがき随筆
 如月。午前6時過ぎはまだ暗い。懐中電灯で妻の前方を照らし散歩。明かりのある家はまばらである。しばらくすると山々の裏側から朝日が顔を出す準備で、空は薄化粧したかのようにピンク色に染まる。道沿いの林から小鳥たちがさえずり飛び回り、日が昇る散歩道で私の母校の小学校へ通う4年生と3年生の兄弟と出会う。「おはよう」と言えば「おはよう」と元気な二重唱が返ってくる。感じの良い兄弟だ。両親のしつけが垣間見える思いがする。小鳥のようにやがて希望の大空へ羽ばたいてくれそうで、小走りに行くランドセルの音が心地よい。
 鹿児島県出水市 宮路量温(74) 2021/4/2 毎日新聞鹿児島版掲載の

2個の時計

2021-04-11 17:04:19 | はがき随筆
 昔、我が家は小さい店を営んでいた。7人の大家族で朝昼晩に柱時計は必需品だった。振り子の横に家族の名が書いてあり、父が毎朝ネジを巻いていた。
 ポンポンと響き、カチカチと刻む。休むことなく時を知らせる時計は、家族の歴史を見守ってくれた。そして春、夏、秋、冬、1年、10年と過ぎ去って行く。
 腕時計は、父が外出の時だけ身につけていた。74歳で逝った時、病室の枕元でみとってくれた腕時計。私はそれを超える歳になった。今でも部屋の片隅に動かなくなった2個の古時計が置いてある。
 宮崎市 藤田綾子(75) 2021/4/1 毎日新聞鹿児島版掲載の

ペンクラブ

2021-04-11 16:52:44 | はがき随筆
 同じ趣味の仲間がいるということは何よりもうれしいことです。長い付き合いのはがき随筆の方々のお顔を思い浮かべながら拝読する朝が待ち遠しい限り。ペンクラブと聞くと敷居が高そうで尻込みしますが、ちっともそうじゃないとすぐにわかります。テストがあるはずもなく、ざっくばらんに話せます。講演を聞き、なるほどとうなずきます。初対面でも大丈夫です。「つどい」ではあちこちに話の花が咲きます。カラオケ、踊りもありで元気をもらてます。個人情報厳守で簡単に連絡がとれませんが、お仲間大募集中です。
 熊本県八代市 鍬本恵子(75) 2021/3/31 毎日新聞鹿児島版掲載