如月。午前6時過ぎはまだ暗い。懐中電灯で妻の前方を照らし散歩。明かりのある家はまばらである。しばらくすると山々の裏側から朝日が顔を出す準備で、空は薄化粧したかのようにピンク色に染まる。道沿いの林から小鳥たちがさえずり飛び回り、日が昇る散歩道で私の母校の小学校へ通う4年生と3年生の兄弟と出会う。「おはよう」と言えば「おはよう」と元気な二重唱が返ってくる。感じの良い兄弟だ。両親のしつけが垣間見える思いがする。小鳥のようにやがて希望の大空へ羽ばたいてくれそうで、小走りに行くランドセルの音が心地よい。
鹿児島県出水市 宮路量温(74) 2021/4/2 毎日新聞鹿児島版掲載の