幼い日々は、豊かではないがゆったりで、競うほど差異もない平均的な環境でした。しかし、社会の片隅では、平穏の陰に苦しむ人々もいたのです。水爆実験、水俣病、足尾銅山、光化学スモッグなど、便利さと自然の軋轢に多発した公害……。しかし何も知らなかった。今でも旧優生保護法などが、ついこの間まであった事にも気づかず、権利や人権への学びも生かしきれない。まるで子供時代のままです。知識は狭く思考は浅薄。だから真摯に新聞を読み、足りない考えを補いたい。今、記憶力は弱々しくが、知りたい思いは強くなっていきます。
熊本県阿蘇市 北窓和代(66) 2021/4/16 毎日新聞鹿児島版掲載