はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

最後の花見

2017-04-14 16:42:51 | 岩国エッセイサロンより
2017年4月14日 (金)
岩国市  会 員   吉岡 賢一

4月生まれの母が満98歳の誕生日を迎えた折。例年のごとく満開の桜に合わせ、子や孫が集まり誕生祝いを兼ねた花見の宴を開いた。弱った体を車椅子に乗せ、皆で代わる代わる押し、すぐ近くの海の公園に。家を出る時は「わしゃ、もうええよ」と遠慮していた母が子や孫に囲まれたにぎやかさと見上げる満開の桜に、こぼれんばかりの笑顔で喜んでくれた。
 ほどなく大腿骨骨折で寝たきりに。その後2度の誕生祝いは桜もない青空も海の匂いもない介護施設のベッドの上だった。
 あれから8年。かの岸の人たちと桜を愛でているのかな。
   (2017.04.14 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
アカショウビン さん (Yattaro-)
2017-04-14 22:04:01
貴ブログへの早速の転載、有り難うございます。
花見にかこつけて遠い思い出をひもといてみました。
春の桜にしても、秋のコスモスにしても、何かと母のことは思い出されます。
父親がかわいそうな気がします。私も父親ですが(笑)
絶好の季節を迎えます。益々お元気にお過ごしください。
返信する
Unknown (アカショウビン)
2017-04-15 22:03:32
お母様はお幸せでしたね。
いつもお子様、お孫さま、ひい孫ちゃまを見ていてくださることでしょう。
義母の最後の花見は近くの公園でした。翌年に夫が亡くなり、私のお花見もそれが最後。
今は、隣の姪っ子とウサギ同伴でちょっと桜をみるだけ…。
返信する

コメントを投稿