「する」と、テレビに向かって姉が答えている。何だろうと思い見ると「……しない?」と呼びかけている食べ物のCМだ。
所望ならばと、それを買ってきて食べた。うまい。次にまた流れた同じCМに今度は「した」と応じている。
不要不急の外出は控えるようにとのご時世だから病気の姉はテレビを見る時間が長くなっている。繰り返し流れてくるCМに、つい出たセリフのようだ。
もうこれでおしまいかと思いきや次は「せん!」だった。こんなことで私たちは弾けて笑う。
小さな喜びや幸せは、そこらに転がっていると思う。
宮崎市 藤田悦子(72) 2020/4/11 毎日新聞鹿児島版掲載
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