週に1.2回通る散歩コースの途中に、大きく傾いた土蔵がある。まもなく4年になる熊本地震の爪痕だ。住まい修復や生活再建が優先で、なかなか手が回せずにおられるのだろう。
波打った屋根のすぐ横、ほぼ同じ高さに成長したユズの木が目を引く。ひびの入った白壁をバックにつやつや光る濃緑の葉に負けじと黄金色の実をたわわに付けている。「2度の震度7に負けなかっただけでなく、毎年頑張ってるな。早春の日差しに、ひときわコントラストがすばらしいよ」。心でつぶやきながら見上げる。風に揺れる黄金色が軽くうなずいた。
熊本市東区 中村弘之(83) 2020/4/11 毎日新聞鹿児島版掲載
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます