はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

どんど 深まる町の絆

2013-01-30 17:45:59 | 岩国エッセイサロンより
    岩国市  会員  片山 清勝

 今年最初の町内の催しはどんど焼きだった。点火は、会場を訪れた年男と年女が務めるのが恒例である。
 点火の直前、付き添いの人に手を引かれたお年寄りの女性が隣に立った。十数人の点火者にたいまつが配られ始めると、世話役の消防団員が、その女性の手を取って会場の中へ導き、たいまつを一緒に受け取る。
 「点火」の合図に、その女性は消防団員に手を携えられて、積み上げられた縁起物へ火を付けた。瞬間、勢いよく炎が立ち上る。消防団員は、抱えるようにして素早く女性を炎から遠ざけた。
 女性は、勢いを増す炎を安堵した顔で見つめている。炎に照らされるその顔は、点火を果たせた喜びと、消防団員への感謝の気持ちも含まれているのであろう。
 そんなことで、今年のどんどの炎に、これまでにない勢いを感じた。これで今年の町内の安心と安全と絆が強まる、そう思いながら会場を後にした。

   (2013.01.26 中国新聞「広場」掲載)岩国エッセイサロンより転載

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
素晴らしいシーン (アカショウビン)
2013-02-04 22:36:28
tatu_no_koさま

いつも心に残るエッセイをお書きになり、感銘を深くしています。
転載させて頂き、こちらこそ感謝です。
返信する
炎の勢い ( tatu_no_ko)
2013-02-01 07:46:17
転載有難うございます。
例年にない炎の勢いを感じたどんど焼でした。
あの女性の方90歳代の方とお見受けしました。
返信する

コメントを投稿