「毎日何してます?」「草取り」。ご近所の答えは皆同じ。「そうよねー」とマスク越しに笑い合う。一日の終わり、庭を見渡し快い疲労感に満たされる。
都会のアパート暮らしの友人はどうしているだろう。彼岸に帰省する予定が帰らなかった。
主のいない友の実家を訪ねると、草が茂り始めた庭に甘い香りが漂っていた。日向夏の白い小花が咲き乱れ、樹上近く黄色い実が残る。1人でははばかられる。仲間を誘い2人で、鋭い枝が交差する中へ脚立を立て、大小約70個を収穫し尽くした。
花香る5月の庭から、故郷の味を都会へ送り届けた。
宮崎県日南市 矢野博子(70) 2020/6/27 毎日新聞鹿児島版掲載
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