2015年11月11日 (水)
岩国市 会 員 安西 詩代
「これ、うらなりだけどおいしいのよ」とミニトマトを夫に差し出した。夏は終わり葉も枯れてきたのに、枝の先にまだまだたくさんの実が色づいている。
私は七兄姉の一番下。「どうせうらなりだから」と反抗すると、母は「うらなりはあなたみたいに大きくならないのよ」と答えた。10歳上の兄が戦後食料がなく、農家に毛布を持って行き、お米と交換してもらったそうだ。お陰で一度もひもじい思いをしたことはなかった。
「うらなり」は一番得だった。
うらなりトマトを食べた夫は「うまい!」と言った。私が褒められた感覚になった。
(2015.11.11 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます