幼稚園から帰ってきた子どもたちを迎えに外に出た。私を見つけたKちゃんは「だっこして」と駆け寄ってきた。Kちゃんを抱き上げ「さあ、おうちに入ろうか」と言うと「おうちじゃないもん。D園だもん」。
一瞬言葉を失った。たわいないおしゃべりをしながら、腕の中の4歳児の言葉に私はとらわれていた。
昨年9月からある養護施設でボランティアとしてこどもたちのお世話をしている。近所の暇なおばさんというスタンスで子どもの相手をしているのだが、時々考え込んでしまう子どもの言葉に出くわす。
昼間は幼稚園や学校で過ごし、おうちに帰る。当たり前のことだと思っていた。ここで暮らしている幼児たちでさえ「おうちで暮らしていない」と認識しているとは、うかつにも気づかなかった。
「おかえりなさい」と出迎えられ、宿題をしたりビデオを見たり。お風呂に入り、ご飯を食べて寝る。おうちでしていることをD園で子どもたちはしている。だから「D園がおうちだ」と子どもたちは思っているものとばかり思っていた。この脳天気なおばさんも、おうちで暮らせない子どもたちのやりきれなさに気づかされることがたびたびあるようになった。
「君の笑顔が見たい」という連載が始まった時、こういう養護の方法もあるのだと知った。早く日本でも家庭養護が主流になることを祈るばかりだ。
出水市 清水昌子 2014/6/26 毎日新聞「女の気持ち」欄掲載
一瞬言葉を失った。たわいないおしゃべりをしながら、腕の中の4歳児の言葉に私はとらわれていた。
昨年9月からある養護施設でボランティアとしてこどもたちのお世話をしている。近所の暇なおばさんというスタンスで子どもの相手をしているのだが、時々考え込んでしまう子どもの言葉に出くわす。
昼間は幼稚園や学校で過ごし、おうちに帰る。当たり前のことだと思っていた。ここで暮らしている幼児たちでさえ「おうちで暮らしていない」と認識しているとは、うかつにも気づかなかった。
「おかえりなさい」と出迎えられ、宿題をしたりビデオを見たり。お風呂に入り、ご飯を食べて寝る。おうちでしていることをD園で子どもたちはしている。だから「D園がおうちだ」と子どもたちは思っているものとばかり思っていた。この脳天気なおばさんも、おうちで暮らせない子どもたちのやりきれなさに気づかされることがたびたびあるようになった。
「君の笑顔が見たい」という連載が始まった時、こういう養護の方法もあるのだと知った。早く日本でも家庭養護が主流になることを祈るばかりだ。
出水市 清水昌子 2014/6/26 毎日新聞「女の気持ち」欄掲載
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