はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

古いポスト 青春重ね

2013-03-01 23:44:43 | 岩国エッセイサロンより
 

2013年3月 1日 (金)

   岩国市   会 員   片山清勝

 近所にある有形文化財の敷地の片隅に、赤い塗料の剥げた年代を感じる郵便ポストが立っている。
 消えかけている白ベンキの説明で、1985年まで使用されたものと分かる。どんな故あって、こんな片隅にたどり着いたのだろ。
 郵便ポストには思い出がある。高校の3年間、夏と冬の休みに郵便局でアルバイトをした。仕事の一つが1日2回、管轄のポストを回っての郵便物収集だった。
 超大型のがま口様のかばんをハンドルにかけて回る。終わり近くになると重くて、ハンドルを取られそうになり苦労した。そんなアルバイト代は、校納金に充てて母を喜ばせた。
 片隅に立たされている古ぼけたポスト、もしかしたら五十数年も前、バイトで収集に回った中の一つかもしれない。
 そう思うと、剥げ落ちた塗料の跡にも、100年を超える堂々とした風格を感じる。  

   (2013.03.01 中国新聞「広場」掲載)岩国エッセイサロンより転載

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2 コメント

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ポスト (tatu_no_ko)
2013-03-03 07:54:51
転載ありがとうございます。
赤いポスト、その数も減少しています。姿も今風に変わっています。
はがき随筆だけは投函しております。
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tatu_no_koさま いつも (アカショウビン)
2013-03-09 14:08:59
コメント有難うございます。

私たちの世代では、赤いポストが郵便局のシンボルでしたから、ホントに懐かしいです。

もう現役の赤いポストはないんでしょうか…。
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