はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

はがき随筆 4月度

2018-05-21 21:52:37 | 受賞作品

月間賞に道田さん(鹿児島)
佳作は木村さん(熊本)、黒木さん(宮崎)

 4月から地域面の内容が変わり「はがき随筆」欄も3県合同の掲載となりました。広く皆さまの作品を拝読できることは大きな喜びです。選にあたりましては、月間賞は県にこだわらず、佳作は各県より一編ずつ作品第一に選びます。
 さて、4月度の月間賞は鹿児島・道田道範さんの「雨靴」(5日)です。子どもの頃の出来事を書かれておりますが、一つ一つがまるで昨日のことのように読者の胸に迫ってきます。自分の感情をはさまず、文章にスピードがあるからです。荷台の父ちゃんに新品の雨靴を投げ上げる時の母ちゃんの言葉が絶品です。最後まで読者に息をつかせません。月間賞にふささわしい見事な作品です。
 佳作は熊本・木村恵子さんの「ある日」(28日)。鹿児島・的場豊子さんの「3月26日」(7日)です。
 木村さんはデパートで勧められて帽子を買った。すぐかぶって歩いていたら「お似合いですよ」の声にホッとした気持ちを作品で語り、初めての物を身につけたときの女心を細やかに表現されました。木村さんの人柄を想わせる美しい文章です。
 的場さんは女優の有村架純さんの出演作にエキストラとして出た。予想外の展開だったが、お子様たちからは「女優デビューおめでとう」のライン攻勢。「思わず笑っちゃうデビューであった。(でも楽しかった)」と結んでおられ、読者も撮影現場にいるような楽しさを味わいました。
 黒木さんは1年生のお孫さんが無事に1年間無欠席で通学できた喜びを「じじとばばのうれしい記念日となった」と表現。このむすびが新鮮でほほ笑ましい作品になりました。
 他に印象に残った随筆は、平川克徳さんの「地賛地称」(13日)、野崎正昭さんの「脚力」(18日)、柳田慧子さんの「心残り」(23日)です。
 爽やかな若葉の季節をお楽しみください。
 戸田淳子(みやざきエッセイスト・クラブ会員)


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