はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

ストレスのかわし方

2007-08-17 07:59:26 | 女の気持ち/男の気持ち
 女も50の坂を越えると、遠出のウオーキングなどから帰ってきた後、膝が痛む。夕食後のひととき、「こんなひざの痛みになんか負けるものか」と、ついひとりごちた私のそばで、夫が「勝つようにして下さい」とポツリ。
 そのあまりのタイミングの良さに、思わず腹の底から笑ってしまった。
 夫が退職後、終日家にいるようになってから、すっかり私の生活のペースは崩れてしまっていた。笑うことも自然となくなり、まゆとまゆの間には深いシワが現れた。れが先輩たちが言うところの「在宅症候群」というやつだなと、最近思い出した。
 夫が「コーヒー」と言うと、私は「ご自分でいれても罪には問われません」と返す。真っ向からは刃向かわない。ジョークも入れ、まあまあ目をつむるところは目をつむる。あまりに干渉してくる夫には「長い間のあなたへのケアで、心遣いは使い果たしてしまいました」と、こちらの気持ちをはっきり相手に伝える勇気が今こそ必要なのだ。
 夫にしてみれば、勤めからのストレスより解放され、ほっとした時期に次なる強力な妻というストレスを抱え込むことになるのだろうが……。必要なのはユーモアという心の潤い。最後の決め手はお互いへの思いやりかな?
  大分県由布市 大下モト子(50)
  2007/8/17毎日新聞鹿児島版「女の気持ち」掲載

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