はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

のんきでいいよ

2013-03-30 11:40:34 | 女の気持ち/男の気持ち
 隣に住む小学5年生の孫娘はのんきで、母親やじじばばをハラハラさせたり、驚かせたりする。
 大事な通知表やランドセルを教室に忘れはするわ、下校中友だちと遊びに夢中になり、外した眼鏡を置き忘れるわ……。あきれることが多すぎる。特にびっくりしたのは2年生の時、水泳の後にスカートの下はノーパンで帰宅したことだ。心配したが、本人は気持良かったのか、ケロリとしていた。
 彼女は学校が大好き。7時前には家を出る。冬は懐中電灯を照らしていくので笑ってしまう。苦手な教科は算数と理科。原因の一つは居眠りらしい。そのため学校が長期休暇に入ると補習授業を受ける。
 「先生も大変だね」と皮肉ると「友達が何人も来るし、先生もうれしそうだよ」と答え、走って学校に向かう。
 絵が好きな孫はよく賞を取るが、はしゃぐことはない。温和な性格と絵の才能は9年前に亡くなった父親の遺伝子を受け継いでいるのだろう。習字も好きで、2月14日には鹿児島面の「墨跡観望」に「火の用心」が掲載された。家族は喜んだが、当人は平然としていた。
 その日はバレンタインデー。クッキーを作って友だちの家を自転車で配って回った友だち思いの孫──。
 のんきでいい。勉強はほどほどできればいい。今のやさしい心で働く母親を支え、成長してくれればうれしい。
  出水市 清田文雄 2013/3/29 毎日新聞の気持欄掲載

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