はがき随筆・鹿児島

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世話役の責任果たす自信がない(老化する心)

2012-01-26 10:53:27 | 岩国エッセイサロンより
2012年1月26日 (木)

岩国市 会員   山本 一

退職して丸8年が経過した。地域の活動や趣味の会では一転して若手と呼ばれ、世話役を依頼される。今も、所属する趣味の会から要請を受けているが、かたくなに断り続けている。

入社して42年間、一貫してマネジメント中心の仕事で過ごした。組織の一人ひとりが自分の特性を生かし、命令や指示ではなく、自分で考えて行動し、組織としてまとまる時、最大の力を発揮すると信じてきた。そのマネージャー、すなわち組織の世話役は、関係する沢山の人たちの人生に少なからず影響を与える。時に、その責任でつぶされそうになったが、経営管理への思い入れと心の若さで乗り越えられた。

目下、体のあちこちに異常をきたし、数軒の病院通いを続けている。心も同じように老化していると実感している。とても世話役の責任を果たす自信がない。一番の危惧は「自分が楽しくやれる自信がない」ことである。

これからの人生は楽しいことを選んでやろうと心に決めている。ましてや趣味の世界で、マネジメントで苦しむのでは何をやっているか分らない。老化した心と対峙して自問自答。

(2012.01.26 朝日新聞「声」掲載)岩國エッセイサロンより転載

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