少し早めに帰宅した日の夕方、窓から見た景色のなんと美しいこと。枕草子の「秋は夕暮れ……」のくだりを思い出す。昨年夏に引っ越してきたので同じ季節、同じ場所から見えたはずなのに全く覚えていない。それは忙しかったから? 余裕がなかったから? 「上を向いて歩こう。涙がこぼれないように……」と坂本九さんの有名な曲があるけれども、悲しい時ってやっぱり下を向いてしまうのかもしれないとしみじみ感じる。
さあ、頭を上げて、悠然とした自然や季節の流れをみて心を豊かにしなさいよ、と一周忌の法要を終えた私に母が告げる。
鹿児島市 堀之内和子(55) 2020/12/14 毎日新聞鹿児島版掲載
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