深夜、テレビでやっていた追悼・木村栄文の世界「むかし男ありけり」を見る。3月22日に亡くなったRKB毎日放送の木村栄文氏がディレクターを務めたドキュメンタリー番組である。
晩年の一時期をポルトガル・サンタクルスで過ごした最後の「無頼派」檀一雄。俳優、高倉健がサンタクルスを訪ね、壇の足跡をたどる。
私には、父と同世代の檀一雄という作家に、異常なくらい強い思い入れがある。壇の誕生日がたまたま私と同じこともあるが、なにより、壇文学を深く読めば読むほど、壇の「孤独」が私の心をとらえて放さないのだ。
私は、できる限りの壇の情報を集めた。生前の壇を知る、文化人にも会いに行った。結果、私が知るに至ったのは、壇が極めて礼儀正しい「常識人」であったことである。
「火宅の人」を読む限り、壇は「破滅型文士」の代表選手としか思えない。しかし実際の壇はどうやら「火宅の人」の桂一雄とは正反対の、誠実な「常識人」であったようなのだ。
未明、感動を残して番組は終わった。
やはり檀一雄はいい。「天然の旅情」に誘われるまま、世界各地を旅した壇に、男として嫉妬すら感じる。そしてそんな壇を、ここまで叙情的に表現してくれた、木村栄文氏に感謝したい。
「花逢忌」も近い。また壇に逢える。
福岡県 嘉朝市 道根 馨 2011/5/17 毎日新聞 男の気持ち欄掲載
晩年の一時期をポルトガル・サンタクルスで過ごした最後の「無頼派」檀一雄。俳優、高倉健がサンタクルスを訪ね、壇の足跡をたどる。
私には、父と同世代の檀一雄という作家に、異常なくらい強い思い入れがある。壇の誕生日がたまたま私と同じこともあるが、なにより、壇文学を深く読めば読むほど、壇の「孤独」が私の心をとらえて放さないのだ。
私は、できる限りの壇の情報を集めた。生前の壇を知る、文化人にも会いに行った。結果、私が知るに至ったのは、壇が極めて礼儀正しい「常識人」であったことである。
「火宅の人」を読む限り、壇は「破滅型文士」の代表選手としか思えない。しかし実際の壇はどうやら「火宅の人」の桂一雄とは正反対の、誠実な「常識人」であったようなのだ。
未明、感動を残して番組は終わった。
やはり檀一雄はいい。「天然の旅情」に誘われるまま、世界各地を旅した壇に、男として嫉妬すら感じる。そしてそんな壇を、ここまで叙情的に表現してくれた、木村栄文氏に感謝したい。
「花逢忌」も近い。また壇に逢える。
福岡県 嘉朝市 道根 馨 2011/5/17 毎日新聞 男の気持ち欄掲載
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