通り過ぎていく青年の姿をポカーンと見送った。あまりにも思いがけず私の前に現れたので、現実のものと了解するのにしばらく時間がかかった。
10月の青空が広がるさわやかな昼前だった。太陽の光に誘われて自宅の門を出た時、右手の方から、片手にサーフボードを抱え、50㏄のバイクに乗った青年がスーッと目の前を通り過ぎて行った。青年の表情はとても楽しげだった。
一瞬、映画を見ているような錯覚にとらわれた。でもすぐに映画のシーンではないことに気づく。今まで暮らしたどの町でも見られなかったこの光景が、普通に見られるという驚き。
この町に暮らすようになってもうすぐ3ヶ月。引っ越す前に、種子島でもこの町にはサーファーに一番人気のある海岸があると聞いていた。ここに来てから4、5回海岸に行ったが、噂通りサーファーの姿がいつも見られ、なるほどと納得した。ただ、海で見かけるサーファーは自分たちとは別世界の人たちに見えた。でもバイクで通り過ぎて行った青年は、なぜか身近に感じられた。
島の青年だろうか? サーフィンが好きで、島外から来て住み着いた青年だろうか? 勝手に想像してしまう。サトウキビ畑の向こうに広がる海を見ながら、自分は種子島で暮らしているんだと再確認する。
鹿児島県西之表市 西田光子(50) 2008/11/29
女の気持ち 掲載
写真はparusさん
10月の青空が広がるさわやかな昼前だった。太陽の光に誘われて自宅の門を出た時、右手の方から、片手にサーフボードを抱え、50㏄のバイクに乗った青年がスーッと目の前を通り過ぎて行った。青年の表情はとても楽しげだった。
一瞬、映画を見ているような錯覚にとらわれた。でもすぐに映画のシーンではないことに気づく。今まで暮らしたどの町でも見られなかったこの光景が、普通に見られるという驚き。
この町に暮らすようになってもうすぐ3ヶ月。引っ越す前に、種子島でもこの町にはサーファーに一番人気のある海岸があると聞いていた。ここに来てから4、5回海岸に行ったが、噂通りサーファーの姿がいつも見られ、なるほどと納得した。ただ、海で見かけるサーファーは自分たちとは別世界の人たちに見えた。でもバイクで通り過ぎて行った青年は、なぜか身近に感じられた。
島の青年だろうか? サーフィンが好きで、島外から来て住み着いた青年だろうか? 勝手に想像してしまう。サトウキビ畑の向こうに広がる海を見ながら、自分は種子島で暮らしているんだと再確認する。
鹿児島県西之表市 西田光子(50) 2008/11/29
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