バブルの片棒を担いだ。銀行は融資に奔走し、ぼくもその融資を利用して株を買ったりして尻馬に乗った。そんな中で燃えさかる生活とは逆に、田舎暮らしを夢見ていた。都会を離れて「晴耕雨読、たまに旅」などと考えていた。したがって定年延長などもってのほかで、早期退職のチャンスを狙っていた。思いはかなうもので、遠く鹿児島にたどり着き、夢の生活をスタートさせることができた。東京有明埠頭から一昼夜かけて志布志港に着いたのは6月。その年は空梅雨で、心ゆくまで土いじりができた。煩うことなく夜が明け、日は暮れていく。
鹿児島県志布志市 若宮庸成(80) 2020/6/27 毎日新聞鹿児島版掲載
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