はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

水仙

2006-02-22 08:10:15 | はがき随筆
2月22日
 暮れからの寒さで、水仙の咲くのも遅いようである。春のような暖かな日和が続き、やっと2、3株咲いてくれた。まだまだ風は冷たい。立春寒波とやらでぶるぶるだ。小春日和が待たれる昨今である。
 亡き父が好きだった水仙の花を、いっぱい株切りして墓前に供えよう。水仙の香りは高尚で何とも言えない。辺りいっぱい放たれ心嬉しくなるからだ。
 春はそこまで来ている。じっとしておられない気になって来た。歩くことが肝心である。水仙の香りをもらいながら、明日から歩くことに努めよう。
   薩摩川内市勝目町 松田ハル子(82)

この季節

2006-02-21 11:44:06 | はがき随筆
2月21日
 この季節、もうすぐ私の誕生日がやってくる。この季節、ザワザワと体の五感が静かに騒ぎ出す。転勤族の我が家にとって、一番落ち着かない、この季節。
 「あーぁ、もう引っ越し、面倒だなぁ」と、この数年小さなため息が出るようになった。
 今度、いつ転勤になるか分からないけど、その時はまた、鍋、フライパンを提げて新しい土地へと行くことにしましょう。
 冬と春が行ったり来たりするこの季節。心も期待と不安で行ったり来たりする。
   枕崎市西別府 西田光子(47)

宮崎ペングループとの交流会

2006-02-20 22:54:36 | 毎日ペンクラブ鹿児島
2月19日
 県南ペングループからお誘いいただき、初めての隣県交流が実現した。
会場の中華料理曼荼淋は宮崎支局長、塩満前鹿児島支局長、選者の足立先生、随友11名、鹿児島から7名でぎゅうぎゅう詰め、熱気あふれる勉強会がスタートした。甲斐さんの名司会で初対面の私たちもすぐに打ち解け和やかな雰囲気であっと言う間に4時間余りがたってしまった。遠慮のない辛口の批評には驚いたが、そこは随友の絆…最後は爆笑で一件落着。いいなあ。
 そしてそして毎月、選者の先生が参加し批評してくださるとは、何と恵まれた宮崎さん。それだけ会員の皆さんが熱心に学んでいると言うことだろう。
ときどき越境してお邪魔してもいいですかぁ 次は鹿児島で待ってまーす。


賞味期限

2006-02-20 08:41:25 | はがき随筆
2月20日
 娘が家に来る度に、冷蔵庫の中の食品の賞味期限に目を通す。これは早く食べなさい。これは期限切れでだめ、この豆腐はいつ買ったの。もうだめよ。いや俺が食べる、と言ってもだめ。もう体に抵抗力がないから危険、とゴミ袋へポイ。ああ、もったいない。娘は学校で何百人かの給食を作る。一度、中毒でも起こしたら責任が問われるので、うるさいのは当然だろう。だが、昔は冷蔵庫もなく、エエもたかっていた。何でも手当たり次第に口に運んだが、食あたりもした事がない。今の食社会、ちょっと神経過敏じゃないかな-。マータイさんは、どう思う。
   霧島市福島 楠元勇一(79)

大丈夫かな

2006-02-20 08:32:53 | かごんま便り
 過去の噴火の教訓を忘れない一方で、「これで大丈夫かな」と思ったことがある。
 先月12日に行われた「桜島火山爆発総合防災訓練」。行政や消防、自衛隊、地元の人たち5000人以上が参加した。1914(大正3)年の大噴火と同じ日に開かれ、今年で36回目という。
 年に1回とは言え、実際に訓練を見ると、身が引き締まり、桜島は活動を続けているのを実感する。日ごろ錦江湾にそびえる桜島の景観を楽しんでいる私も、この日は何やら不気味な山に見えた。
 危惧するのは現在、錦江湾で建設が進められている人工島だ。火山噴火につきものの地震には大丈夫だろうか。と言うのも、昨年3月に福岡沖玄海地震で福岡市の人工島が液状化現象を起こしたからだ。
 福岡市は一大事業として建設を進めている。私は社会面でも再三、掲載されたように税金を湯水のごとく使う事業との印象を持っている。人工島を造る目的も工業団地から住宅地としての分譲や、こども病院・感染症センターと福岡市民病院を統合する新病院の建設構想もある。
 不可解なのは、地震後に開かれた福岡市病院事業運営委員会で、委員が「(人工島は)地震で液状化現象を起こしたのに、災害時の拠点病院になるのか」「別の場所に建てることはできないか」の意見に、福岡市は「17年にわたりステップを踏んできた」「こども病院、市民病院の統廃合は決まっていること」と述べたことだ。答えにはなっていない。
 まずは人工島ありき。その地盤が安全かどうかは二の次、手掛けた以上は撤退をしない行政の変なプライドがうかがえた。 最先端技術で建設された関西国際空港も、地盤が沈下してジャッキで持ち上げている現状だ。膨大な費用は、つまるところ私たちが納める税金で賄われている。
 さて、桜島の近くで建設が進んでいる人工島。桜島が爆発したら大変だが、人工島の〝耐震強度〟は大丈夫だろうか。多量の降灰もあるだろう。地盤がゆるんだらヘリコプターの離着陸も危険になる。
 緑地公園にするということだが、本当に必要な事業なのだろうか。鹿児島には偉人の銅像や記念碑が多い。人工島の建設を進めた行政、議員の名を刻んだ石碑を建ててはどうだろう。その判断は後世に任せるとして。
鹿児島支局長 竹本啓自(2006/2/20毎日新聞鹿児島版掲載)

春の音

2006-02-19 17:34:34 | はがき随筆
2月19日
 山々の彩りもなくなり、青一色となる。裏山では小鳥が春を告げに来ている。
 いつしか梅の花もぽつぽつと咲き始めている。小川の流れもさらさらと春の音。雨降りも静かに春の雨。あの厳しい冬を乗り越えてうれしい。悲しかった昨年はもういらない。
 今年は戌年、私の年である。孫たちの嫁入りのニュースも飛んできた。春の音、本当に良かった。乗り越えて来た。うれしい。
 今年こそ元気でがんばろう。この春に会えて、どんな日にも負けないで生きよう。
   さつま町永野 浅山清子(84)

花を買う

2006-02-18 11:01:30 | はがき随筆
2月18日
 前の家では、手入れしていない庭でも季節ごとに何かしらの花が咲いた。
 今の家では、気持ちに余裕がなかったせいもあり、花を飾ったりしないでいた。引っ越しの時もらった花畑の絵が1枚、〝置いて〟あるだけ。
 スーパーの生花売場に小さな花束があるのに気づいた。手のひらサイズで値段も手ごろ。何より「私を買って」と、ささやいているみたいで、心引かれた。
 五種類の花が台所に一足早い春を連れてきた感じで気持ちも明るくなる。昨日は第2弾として、ピンクのチューリップを買ってきた。
   鹿児島市上荒田 本山るみ子(53)

廃屋と新築家屋

2006-02-17 17:39:54 | はがき随筆
2月17日
 ここ十数年来、農村地域にも老朽化した廃屋がずいぶんと目立って来た。中には古びてはいるものの瓦や柱などは、がっちりしていてそのまま十分住める建物もある。廃屋になった理由は人さまざまであろう。後継者が零細な農業に見切りをつけ、都会に職を求めてやむにやまれず離村した人もいるようだ。その反面、定年退職後の老後を、都会の雑踏や騒音から逃れて農村でのんびりと余生を過ごしたいという人たちも増え、新築家屋はブームを呼んでいる。昔の農村には見られなかった現代の社会の二面性を如実に具現しているように思えてならない。
   霧島市隼人町松永 有尾茂美(77)

銀ブラ

2006-02-16 19:01:37 | アカショウビンのつぶやき
2月14日
 暖かな晴天に恵まれ、久しぶりの銀座を歩く、ウインドウショッピングもたのしい。
 一度訪ねたかったのがメソジスト派の銀座教会、明治34年、銀座4丁目に建設されて116年の歴史を持つ。何回も建て替えられているが、パイプオルガンの荘厳な響きに、しばし心静まる時をいただいた。毎日行われる正午からの礼拝は、近くにお勤めの人やショッピング途中の人も自由に参加できる。(上の写真が有名な初代銀座の鐘)
 そして次は明石町まで足を延ばし、聖ルカ国際病院のチャペルへ。ここは病院の患者、職員の祈りと讃美、礼拝の場だが、誰でも自由に見学出来る。正面に輝くブルーのステンドグラスからの光が静かな祈りの雰囲気を醸し出す。ここでも美しいパイプオルガンの音色に魅せられ心を洗われた思い。たとえ信仰は違っても人々の心に愛と平和を与え続けるものが宗教であってほしいとつくづく思う。
 教会巡りの後は、現世に戻って肉の糧。築地で美味しいお寿司を! と足どりも軽く「へたの会ご一行さま」は歩きました。
「へたの会」とは?? 何でしょう。次のお楽しみに……。(アカショウビン)

火鉢事件

2006-02-16 18:13:15 | はがき随筆
2月16日
 火鉢に手をかざして暖をとっていた幼かったある日の事。全身温まるには、自分が火鉢の上にいけば良いのではと火鉢にまたがった。火鉢の縁は広く安定していたし、思った通りカラダの芯から温かくなった。良い方法を見つけたとうれしくなった。降りようとした途端、バランスを崩し火鉢が傾き、炭火が飛び出て、あっと言う間に畳を焦がした。すぐに火箸で炭を元に戻し、焦げ目を隠そうと、その上に火鉢を移動した。においがしたのか母がすっ飛んできて、「火事になるが!」と、火鉢をどけたらくすぶっていた。あの焦げ目は私の心にへばり付いている。
   鹿児島市慈眼寺町 馬渡 浩子(58)

田の神さあ

2006-02-16 18:02:48 | はがき随筆
2月15日
 九州自動車道北インター近くの高架橋の下に、車の行列を見る田の神さあが居られる。風化を続ける永遠の微笑、汚れた野菊の供花がわびしい。
 この付近、1960年代には甲突川の水利を得て、夏は植田から青田、秋は実りの黄金色、冬は刈田、稲架の風情が、田の神さあの視界を満たしていた。
 いま、豊かな水田のかけらも見あたらない、すごい変ぼうだ。
 あの懐かしい風情は再び帰って来ない。田の神さあは、何を思っているだろうか。排気ガスと振動にとまどっているのかも。
   鹿児島市伊敷 福元 啓刀(76)

ユックリズムで

2006-02-16 17:44:15 | はがき随筆
2月14日
 「1年の時の流れが早く怖いくらいです」と、友人の賀状にあった。確かに年々に速度を増して月日が飛び去って行くような気がする。子供のころや、若い時は1日が長く充実していたような……。
 子育てをする時でさえ余裕があつて、例えばお正月には髪を結ってやり、晴れ着を着させて自分も着物を着て、何となく晴れやかな気分で正月を迎えたものだ。
 新年こそは着物を着て、孫たちにも着せさせてと思っていたが果たせなかった。今年は時に流されず、1日1日を豊かにゆったりと過ごして行きたい。
   霧島市溝辺町崎森 秋峯いくよ(65)

メジロ

2006-02-16 17:17:28 | はがき随筆
2月12日
 庭木で遊ぶメジロを見ていると、戦後のメジロ捕りの様子が目に浮かぶ。
 夜明け前、寒さに震えながら兄たちと裏山に登り、雑木の高枝にメジロ籠を2、3箱かけ、小枝にミカンを刺し、鳥もちを巻いた止まり木を渡す。あとは木陰に身を潜めて、籠の囮メジロが「チュリー」「チュウーチン」と響く声で仲間を呼ぶのを待つ。
 捕らえた美声、美形のメジロは小鳥店が引き取ってくれたので、ひと冬で布の野球グラブを買うことができた。庭先の数羽のメジロのさえずりは、鳴き真似が上手だった亡き2人の兄の声音に聞こえる。
   高尾野町柴引 清田 文雄(66)

おとしさん

2006-02-16 10:13:06 | はがき随筆
2月11日
 「母ちゃん、どうして、そんなに靴下をたくさんはくの?」。とても寒い日だったので、靴下を2枚重ねてはいて外出しようとした私に、8歳の娘、三希子が声をかけた。「母ちゃんはもう、おとしだから」「えっ、そんな事、自分で言うんだったら、名前は〝おとしさん〟にしなさい」。怒ったような声だった。あ、ごめん。私が「おばあちゃんですか?」と他人に尋ねられると、三希子は「いえ、母ですから」と、き然として言ってくれるのにね。娘に二度と〝おとしさん〟と呼ばれないよう愚痴らず、身も心も若々しく、娘と夫と共にはつらつと生きたいと思う。
   鹿児島市真砂本町 萩原裕子(53)
   

コンサート

2006-02-11 21:15:26 | アカショウビンのつぶやき
2月11日
 今年はモーツアルト生誕250年、神童モーツアルトの話題で賑わっていますが、「モーツアルティアン」を自認していた夫は、特に室内楽が好きで、すり切れるまで聞いていたレコードは捨てきれず、今でも大切にしています。

今回はモーツアルトではなく、イタリアのソプラノ歌手、リーナ・バスタ。ピアニスト、マッティエロ・ディエゴ、イタリア語通訳兼ソプラノ歌手の鎌倉雅子さん、3人の小さなコンサートです。

大作曲家・ヴェルデイが私財を投じて造った、老音楽家たちが最期まで心豊かに過ごす憩いの家「ヴェルディ・ハウス」からお迎えします。音楽の後は、山形県米沢市の米沢興譲教会・田中信生牧師が「自分らしさを奏でる」と題して講演されます。

トリノオリンピックも華やかに開会しました。私もイタリアの風を少し感じて参りましょうか。
しばらく blog をお休みさせていただきま-す。 (アカショウビン)
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