はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

2006-02-10 11:00:05 | はがき随筆
2月10日
 なるかならぬかわからないけど、彼の夢はレストラン経営。
 ぼくは「しらっしゃいませ」って言う人、注文を聞く人。お父さんは味見する人。お母さんは料理が上手だからコックさん。
 「洋レス」と書いた小さな小さなメニューを4,5冊作って今様の飲物、食べ物、デザート名に金額や絵も入っている。6歳にしては巧妙。
 人間食べることは一番大切なことである。どうぞ無駄のない食生活。重ねて夢をかなえてほしてものだ ちなみに洋レスは洋平レストランの訳。  
   鹿児島市唐湊 東郷 久子(71)

60過ぎの習い事

2006-02-09 08:11:43 | はがき随筆
2月9日
 退職後、いくつか習い事を始めた。短歌もその内の一つ。
 今は、もう、庭の白木蓮も裸。
 まだ、緑の葉が付いていたころ。洗濯物干しの時、葉がサワサワと風に鳴った。とてもさわやかな気分。葉になって、風と遊びたい、と思った。
 短歌の練習をした。
 サワサワと木の葉鳴らせて風渡る
    我も葉になり風に鳴りたし
 随筆では、風の鳴る音はサワサワと書くと思っていたが、短歌ではさわさわ、が良いという。むとろ擬語等は使わない方が良いらしい。
 ウーン、60の習い事は難しい。
   出水市大野原町 小村 忍(62)

桜島山

2006-02-08 13:50:30 | はがき随筆
2月8日
 桜島は島か山か。ある人は「その名の通り島だ」と言い、ある人は「いや山だ」と言う。「大正の御代に大噴火して、島と陸地がつながったのだから、それから後は山ではないのか」「山と言うのなら、なぜ桜山と名を変えぬのか」。侃々諤々、閑人の議論か?
 甑島から鹿児島市の高校に入学し、桜島の勇姿に魅了された。今は亡き中学校の恩師に「桜島のような雄大な人間になりたい」と便りした。桜島は七色に輝くという。レインボー桜島。素晴らしきかな鹿児島のシンボル。冬の日に映えて雄々しき桜島。いつまでも我が師であれ桜島山。
   鹿児島市鴨池 川端清一郎(58)

お久しぶりです

2006-02-07 23:03:46 | アカショウビンのつぶやき
2月7日
 昨年の異動で日南勤務となられた、前鹿児島支局長・塩満温さまから、メールを頂きましたので、その一部を紹介します。

ドライブ
 先日、国道220号線を日南から志布志まで走ってみました。日南から串間まで30分、串間から志布志まで30分。意外に近いことに驚きました。そして、串間から志布志までの海岸のきれいなこと。ダグリ岬の国民宿舎で休憩し、志布志湾を眺めながら、ケーキセットを食べました。もうちょっと足を伸ばせば鹿屋、さらにもう少しがんばればフェリーで鹿児島と思うと何だか嬉しくなってきました。

     次はもう少し足を伸ばして鹿屋まで走ってください。皆で待ってます。

娘のプレゼント

2006-02-07 14:43:24 | はがき随筆
2月7日
 娘のプレゼント1万円。国語辞典、福祉住環境コーディネーターの本を買う。国語辞典は横書きで福祉にかかわることも解説、漢字解説も付いていて大助かりである。ホームヘルパー終了、ガイドヘルパー終了で福祉住環境コーディネーターの中身は少しは理解できるもののなかなかである。娘の誠意に応えるのに少しずつだが勉強している。1万円の価値にどこまでたどり着くやら分からずともやる以外に道も開かれぬ。今秋が資格検定である。老身に鞭打って前向きに対処していこう。今日も1字一字に1頁の理解に辞典を引く。
   高尾野町唐笠木 岩田 昭治(66)

新春に集う

2006-02-06 17:20:21 | はがき随筆
2月6日
 大みそかに、まず弟、元旦には息子や甥一家、2時間余り架けて来た別の甥は「元気だった、ばあちゃん」と母とひしと抱き合う。2日には友人、下の娘さんは近々、カナダへ留学。「若い時はいろんな事を経験しなきゃね」と応援する。
 3日、いとこ夫婦、お互い孫の話で盛り上がる。お土産の生がきが美味しかった。4日、妹たち、姪から「老後の面倒みるからね」と夫に。これで私も心おきなく我が道を歩こう。夜遅くには夫の友人たち、こんな日がはあわただしくも楽しく1週間余り続いた。来年も又、皆が元気に集えますように。
   薩摩川内市青山町 馬場園征子(64)

先のこと

2006-02-05 17:34:16 | はがき随筆
2月5日
 ふと、老後を思う。
 単純に平均余命からいくと、どうしたった夫の方が先に逝く。本人も後に残りたくないらしい。
 幼いころから、望む生き方をするように言って育てた娘たちは、成長するやさっさと都会へ出てしまった。
 残る私はどうすればよいのだ。
 1人で暮らせってか。にわかに先行きの不安に襲われる。
 願わくば共白髪。暮らしと心と体をしっかり支える備えが必要だ。が、明日のこともわからない。
 あとは運次第かな。
   出水市上鯖淵 窪 啓子(55)

クレイジー・フォーユー

2006-02-04 10:37:02 | はがき随筆
2月4日
 ミュージカルへのお誘いのお鉢が私に回ってきた。ラッキー! 前列のシートで心の高ぶりを抑えながら緞帳の上がるのを待つ。
 1930年代のアメリカが舞台。不況の時代でも夢を失わず、底抜けに明るく、たくましく生きる姿が生き生きと描かれていた。洗練された衣装、躍動感あふれるダンス、しゃれたジョークでショーは最高潮。
 「あなたに夢中」。なんてセリフは遙か遠い昔の思い出となったが、この夜は10歳は若返ったような気分だった。幕が下がり、夜空を見上げると満月が美しくいつもより輝いて見えた。   
   姶良町西餅田 中村 頼子(60)

少子化の一因?

2006-02-03 11:39:16 | はがき随筆
2月3日
 正月に遊びに来ていた4歳になる孫娘が、夜中に突如飛び起きて「あたし、大人になりたくない」と泣き叫びだした。なだめながら理由を聞いてみると、大人になると赤ちゃんを産まなくてはならない。そうすれば、おなかが痛くなるからだというのだ。
 たぶん母親が出産の時の苦しさを何げなくしゃべったのだろう。あるいは母親同士の会話を偶然耳にしたのかもしれない。
 結婚したがらない女性、子供を産みたがらない女性が増えている一因がこのへんにあるのかもしれない、ふとそう思った。
   肝付町前田 吉井 三男(63)

小鹿との出会い

2006-02-02 13:03:37 | はがき随筆
2月2日
 「えっ、こんな所に小鹿が」
 紫尾峠で小鹿に出会った。つぶらな瞳で、きょとんとして道路そばに立っている。思わず目と目が合ってしまった。この小鹿、ちょっと散歩に出かけて道に迷ったのであろう。小鹿は無事に母鹿の暖かい懐に帰り、言ったに違いない。
 「お母さん、今日、すごいものを見たよ。コンクリートの道と風よりも早く走る物体とそれを動かす動物」
 「それは、道路と車と人間だよ。近づいたらいけないよ」
 「手ぶくろを買いに」の母さんキツネを思い出しつつ、車を走らせた。
   高尾野町柴引 山岡 淳子(47)

笑顔、二つ

2006-02-01 15:49:51 | はがき随筆
2月1日
 その日はクリスマス。夜、町はイルミネーションに彩られ、お祭り気分も絶頂に達しているように見えた。私たちは桜島でサッカーの応援を終え、家でおなかをすかして待っているこどものことを気にかけながら、走ろうにも走れない渋滞にイライラしだしていた。ふと歩道に目をやるとジャージ姿の女子高生が口を動かしている。何を食べているのか、じっと見るとフライドポテトだ。そうとわかった瞬間、目が合った。一瞬のためらいの後、ニコッと笑顔。つられて私もニコッ。肘でつつかれ隣の子もニコッ。   心の温度急上昇。笑顔はあったかい。

   薩摩川内市高江町 横山由美子(45)