はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

面会

2014-01-07 20:56:25 | はがき随筆
 垂水のK園に入所しているいとこの面会にやっと行けた。ところが、インフルエンザ発生とかで面会謝絶。溝辺からせっかく来たのでマスクをかけて玄関先でいいですので、と懇願してやっと許可された。車椅子を押されて来たいとこは相好を崩して迎えてくれた。
 年は離れているが、いともこ私も一人っ子で随分とお世話になった。小さい頃には、見てきた映画「子鹿物語」など話してくれた。高校入学時には国語辞典を買ってもらい、夏には喫茶店で白熊を食べさせてもらった。私は何の恩返しもできていないと思うと、涙がこぼれた。
  霧島市 秋峯いくよ 2014/1/7 毎日新聞鹿児島版掲載

後塵

2014-01-07 20:50:06 | はがき随筆
 そろそろ老境かと思いつつも私は、気軽に練習できそうな「短距離走」を選んだ。
 近くの運動公園で黙々とジョギングする人々を見て力をもらっていた。
 昨年6月のマスターズ。私は鴨池競技場にいた。年代別のスタートにつく。経験豊富そうな選手がずらりと横にいた。
 100㍍走。私の隣は走り幅跳びで年代別日本記録を保持しているI氏だった。
 号砲と共に出遅れが分かり、その差は広がる一方であった。それでも歯を食いしばり、ゴールした。皆の後塵を拝す。記録は17秒89。
  出水市 松尾繁 2014/1/6 毎日新聞鹿児島版掲載

夫、耳を負傷す

2014-01-07 16:55:21 | アカショウビンのつぶやき
 耳を血だらけにした夫が「耳を見て。耳を切った」。自分の耳は自分で見れないのだと悠長な事など考えつつ見てびっくり。なんと真ん中が裂けている。すぐさま病院へ。軟骨も切れていて5針も縫う傷だった。
 庭仕事をしている時、何かにぶつかったらしい。
 直前にささいな事で口論をした。不愉快な気分を引きずっていたのでは?
 「きつい言い方をしてごめんね」「何を言った? あんたにはゼーンゼン関係ない。ただの不注意だった」
 ガーゼですっぽり覆われた耳が痛々しい。
  鹿児島市 馬渡浩子 2014/1/5 毎日新聞鹿児島版掲載

やっちゃったⅡ

2014-01-04 10:59:04 | はがき随筆
 孫の動画や写真を早く見たさに、使い慣れた携帯をスマートフォンに替えた。覚えるのに一苦労。サービス店に何回足を運んだことか。仕事の手と化した大きな指は、かけるはずもない方にプッシュ。「ゴメンナサイ、かかっちゃいました」と失敗の連続。
 今回の機種には首にかけるひもを通す穴がなく、落とす回数も多く、ついに画面に縦に亀裂が入り交換に。データは移行したが、遠くにいる家族とつながっていたラインやメールは…。返すはずの交換用携帯電話は紛失状態。はがき随筆が載った頃は手元に戻っているか。
  阿久根市 的場豊子 2014/1/4 毎日新聞鹿児島版掲載

愉快な仲間と

2014-01-04 10:53:26 | はがき随筆
 「わあい、できた、できた、完璧。なんて上手なんでしょう」
 ギョギョッ。
 他人へは辛口のタケ子さんの自画自賛です。
 ここは生徒8人の洋裁教室。
 「ここは直しましょうか」
 「いいえ、いいんです。皆さんは1㍍以上近寄らないでね」
 ジエジェジェ。
 それでも、「今でしょ」と手を休め、駆け寄って褒めたり、けなしたりの「倍返しだぁ」。
 昼には、みゆきちゃんの自慢のつくだ煮と、ご主人の手作りそばの「おもてなし」に「ごちそうさん」。
  阿久根市 別枝由井 2014/1/3 毎日新聞鹿児島版掲載

サザンカの花 

2014-01-01 17:12:04 | はがき随筆


 冬空に凛と咲く白いサザンカの花に、在りし日の夫の面影をしのぶ。自己流で剪定や枝作りを楽しんでいた夫は枝が伸び、葉が茂ってくるのを満足げに眺めていた。
 そんなある日、手伝っていた息子が自分の考えで枝を切り落としていた。「あれっ」と絶句した夫は転がっている枝に茫然としていた。その場に微妙な空気が流れた。一方、息子は叱声が飛んでくるのではと固まっていた。しばらく沈黙の後、「澄んだことは終わったことじゃ」と、夫の言葉だった。
 咲き誇る大輪の花は、どことなくほほ笑んでいるようだ。  
 鹿児島市 竹之内美知子 2014/1/1 毎日新聞鹿児島版掲載

明けましておめでとうございます

2014-01-01 16:58:47 | アカショウビンのつぶやき


穏やかな元旦を迎えました。

残念ながら、アカショウビンは、去年の風邪が治り切らず、
咳に悩まされ、ゴホゴホやりながら、
失礼した方への賀状を書いています。

今年の目標は、やっぱり健康を第一でしょうか。
まずは、二年越しの風邪を速くなおしましょ。

皆様もお体大切にお過ごしください。
今年もどうぞよろとく。