ツルが帰っていく。今年も万羽だった。知り合いの写真家がすばらしい写真を下さった。多くは水辺にたたずんでいる。3羽は連なって大空をめざす。まだエサをついぱむもの、今まさに飛び立とうと見上げる6羽。遠くの山々と、水面に映るそのシルエットが、細身をくっきりと際立たせている。数多くの立ち姿やさまざまなしぐさが見事に調和した、セピア色の風景。それを小さな額に入れて頂戴した。その撮影ポイントには16回も通われたそうだ。「翌日には、もう一羽も残っていなかったのですよ」と写真家は言われた。ともに旅路の無事を祈った。
出水市 山下秀雄 2016/4/2 毎日新聞鹿児島版掲載
出水市 山下秀雄 2016/4/2 毎日新聞鹿児島版掲載