はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

楽しく気まま町歩き

2017-01-19 11:50:57 | 岩国エッセイサロンより
2017年1月14日 (土)
   岩国市   会 員   片山清勝

 健康のために歩いている。そのお供は小さなデジカメに携帯電話と歩数計。
 家の前は小さなつじ。「小鳥が飛んでいった」 「何か大きな音が聞こえる」など、気のむくままに第一歩を決める。
 藩政時代の細い迷路の通りでは歴史を感じる。棟上げに出合うと、しばらく立ち止まって眺める。大きな張り紙があると止まって読む。知った人に出会うと立ち話になる。
 同じ通りも、歩く向きが逆になると景色が変わる。
 道沿い、公園の草木や、水鳥の様子などに四季の移ろいを楽しみながら歩き、写真も撮る。こんな気ままな歩きでも、健康面だけでなく、ブログや投稿の題材に出合える。
 写真は16年目になる孫新聞への風景写真としても使う。何かに関心を示す、これも健康維持に役立つ。
 公園の梅が咲き始め、春が近づいていることを教える。今年も無理をせず、楽しみながら、また、思いもしない出会いも期待して町を歩こう。

    (2017.01.14 中国新聞「広場」掲載)

詫びと感謝と

2017-01-19 11:49:54 | 岩国エッセイサロンより
2017年1月10日 (火)
  岩国市  会 員   吉岡 賢一  

  「一富士二鷹三茄子」。これは初夢の縁起物ベストスリーで、これらの初夢を見たら「必ず出世する」と大真面目に話してくれた父。気持ちの奥には「このような夢の力を借りてでも出世街道を突き進め」という暗示だったのだろうか。 
 残念ながら、そんないい夢は見ることもなく、父の思いにかなう出世もないまま、年だけはいつしか父を上回ってしまって迎えた初めての正月。幸いにして、親からもらった体は健康そのもの。
 僅かながら世のためになる生き方もできている。そんな感謝と報告を込めて、お灯明をともす。  
  (2017.01.10 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

近ごろ

2017-01-19 11:47:41 | はがき随筆
 神様に「来年4月まで生かしてください」と一の願い。二の願いもやはり命のこと。「再来年の4月までぜひ」と懇願する。はたして……と思うが、かなえたまもものなら喜びにあふれることだろう。
 一の願いは本年度、この年で引き受けた役目を全うしたいからであり、二の願いは孫の行き先をかいまみたい故の願望である。
 欲なことと思いながら、まだ第九も歌いたいから、かなえていただいた暁には私にできる任を喜んで果たしたいと思っている。どうぞよろしくお願い致します。
  鹿児島市 東郷久子 2017/1/14 毎日新聞鹿児島版掲載

一喜一憂

2017-01-17 17:03:09 | はがき随筆
 昭和36年3月、実家の玄関に「電報です」。急いで受け取った私。それは、東大を受験した弟からの合格通知だった。家族が待ち望んだ吉報に歓喜の声が上がる。父は合否を案じて涙目だったが、満面の笑みになった。後日、帰郷の弟に「よかったね」。そして語気も強く「勝ってかぶとの緒を締めよ。おごり高ぶる事はなかれ」。「決してそんな」と弟。恩師の方々、親類から称賛の数々。努力は実った。4月の入学式に、父は単身上京した。胸中、花満開のうれしい旅立ち。子供たちに一喜一憂して、享年87歳での他界。天国で母と安らかに。
  肝付町 鳥取部京子 2017/1/13 毎日新聞鹿児島版掲載 


こたつ寝もよし

2017-01-17 16:54:09 | はがき随筆
 田舎の古い家で暮らしてした頃、冷え症の私は12月になると早々にこたつを出した。座椅子にもたれ、足を伸ばすと芯から温まって気持ちがよい。布団を敷いて行火も入れ、浴室から布団に直行しても、ほんの十数歩の間に足が冷えてしまうのだ。
 今の住まいは密閉度が高く前の家ほど冷え込まないが、12月下旬までにはこたつの準備をし、その夜はたいていこたつに入ったまま眠ってしまう。
 以前は何となく罪悪感を感じていたが、ひざ掛け用のケットを布団代わりに、ぬくぬくと眠れるのであればそれでよし、と思うことにしている。
  鹿児島市 本山るみ子 2017/1/12 毎日新聞鹿児島版掲載


山よそおう

2017-01-17 16:47:40 | はがき随筆
 県内の紅葉の名所は慈眼時公園や垂水千本イチョウなどしか思い浮かばない。そこで足を九州山地にある祇園山まで延ばした。
 7年ほど前、椎葉村を訪れたとき、この山周辺の紅葉の印象が大きかったので再度訪れたのである。ヤマハゼ、カエデなどの赤や黄色のコントラストは圧倒する様相である。山全体が秋化粧して登山客を歓迎しているのである。
 東北の八幡平や栗駒山にはスケール的には負けるけど、なぜか秋の風情を感じさせた山旅であった。
 山肌に人も気づかぬ秋をこめ
  鹿児島市 下内幸一 2017/1/11 毎日新聞鹿児島版掲載

マスターズ陸上

2017-01-15 22:37:31 | はがき随筆
 過日、鹿児島マスターズ陸上競技選手権大会の短距離に出場した。一昨年、定年を迎える年に、長年思い描いていたマスターズ陸上に思い切って挑戦し、2年目になる。運動部の経験もない私の、還暦を前にしたマスターズへの初挑戦が珍しかったからか、テレビ局の密着取材まで受けた。周りは記録保持者ぞろいだったが、走る喜び実感した。今ではアスリート仲間もでき、走ることが楽しくてたまらない。今回60㍍でも自己ベストを出すことができた。「団子状態でゴールしたよ」との主人の一言がうれしかった。次なる目標は全国大会出場。
  鹿児島市 天野芳子 2017/1/10 毎日新聞鹿児島版掲載

楽しく気まま町歩き

2017-01-14 22:03:45 | 岩国エッセイサロンより
2017年1月14日 (土)
   岩国市   会 員   片山清勝

 健康のために歩いている。そのお供は小さなデジカメに携帯電話と歩数計。
 家の前は小さなつじ。「小鳥が飛んでいった」 「何か大きな音が聞こえる」など、気のむくままに第一歩を決める。
 藩政時代の細い迷路の通りでは歴史を感じる。棟上げに出合うと、しばらく立ち止まって眺める。大きな張り紙があると止まって読む。知った人に出会うと立ち話になる。
 同じ通りも、歩く向きが逆になると景色が変わる。
 道沿い、公園の草木や、水鳥の様子などに四季の移ろいを楽しみながら歩き、写真も撮る。こんな気ままな歩きでも、健康面だけでなく、ブログや投稿の題材に出合える。
 写真は16年目になる孫新聞への風景写真としても使う。何かに関心を示す、これも健康維持に役立つ。
 公園の梅が咲き始め、春が近づいていることを教える。今年も無理をせず、楽しみながら、また、思いもしない出会いも期待して町を歩こう。

    (2017.01.14 中国新聞「広場」掲載)

我らがパラダイス

2017-01-09 16:44:25 | はがき随筆
 毎回楽しく読ませていただいた林真理子氏の小説「我らがパラダイス」が最終回を迎えました。ちょうど自分が高齢者となり、介護3以上にならないと介護保険は使えず、人間終末の参考になると期待しながら? 毎回どうなるだろうかとハラハラどきどきしながら詠みました。外側からみるとセレブの集まりみたいなすてきな老人ホームでも、案外、中の生活は気を使い疲れる事もあるようです。
 結局、自分自身の事だから、健康に気をつけ、できない仕事は人さまにお願いし、そのためには日ごろのおつきあいが大切だと思いました。
  鹿児島市 津田康子 2017/1/9 毎日新聞鹿児島版掲載


初めての奄美

2017-01-09 16:36:45 | はがき随筆
 大島を巡る貸し切りバスの中で自然農法、有機農法についての質問が初参加の人から飛ぶ。改めて食と農について考えさせられる。静岡の清沢塾、溝辺の竹子農塾、奄美のあぶし会の人たちの三者交流会に参加した。
 島中をサキシマフヨウの花が彩っていた。湾ごとに現れるきれいな浜辺と打ち寄せる白波が車窓に続く。はるかな水平線。
 パパイア、マンゴー、バナナなどの農園や棚田を見学。農業に平和運動に携わる人たちの情熱に打たれた。2晩を共にした。交流会では島唄と三味線に酔った。奄美あぷし会の人たちの厚いもてなしに感謝です。
  霧島市 息峯いくよ 2017/1/9 毎日新聞鹿児島版掲載

タマネギの苗

2017-01-09 16:27:42 | はがき随筆
 今季のタマネギは貴重品だ。計画より少なかったが、やっと苗がそろった。
 9月初旬に種を蒔いたが、直後の強い雨ではじき飛ばされてしまった。発芽は極めて少なく、また高い種を買って蒔いた。いつもより植え方も大幅に遅れた。12月中旬にやっと終わった。プロの苗物屋さんも失敗して、やり直したと苦笑していた。多くの人が植えるのに苦労したようだ。
 これから2500本くらいの小さな苗にうんと心を注ぎ、春の貴重新タマネギを待つとしよう。
  出水市 畠中大喜 2017/1/7 毎日新聞鹿児島版掲載


女性記者

2017-01-09 16:22:03 | はがき随筆
 早朝のテレビ。某歌舞伎役者の女性問題について、大勢の中年女性記者がぶらさがり取材をしていた。
 泰然とした壮年役者に「いつ頃、その人と知り合ったんですか」「その女性は奇麗な人なんですか」「その人のどんなところが気にいったのですか」などの質問が矢継ぎ早に飛んでいたが、なぜか私には「どうして私に声を掛けてくれなかったんですか」「その人は私より奇麗な人なんですか」「どうして私ではいけなかったんですか」「なぜ私を選んでくれなかったのですか」と訴えているように聞こえてきた。
  鹿児島市 平原博 2017/1/6 毎日新聞鹿児島版掲載


渋柿の知恵

2017-01-09 16:16:03 | はがき随筆
 渋柿は完熟すると美味しいのですが、上を見上げて待っていても熟した頃には鳥に食べられてしまいます。
 ある日、どうしてだろうと考えていると、はたと気がつきました。柿はたくさん実がなると、動物や鳥に食べられないように考えているのです。そしてぎりぎりのところで、熟してすぐ落ちて良い種子を残すのです。
 このような果物は熱帯植物に多いようです。マンゴー、シャカトウ、パパイア、ライチーなどいろいろです。パパイアなどは完熟しなければあくが強くて食べられるものではありません。台湾にでも行く事ですね。
  鹿児島市 高野幸祐 2017/1/5 毎日新聞鹿児島版掲載


ブラウス作製

2017-01-09 16:06:29 | はがき随筆
 プリント地の布生地を広げて型紙を当てる。前、後ろ、身頃、襟、見返し部分にチョークで型どりし、ハサミで裁つ。マチ針を打ち、しつけ縫いをする。袖ぐりも上手にバイアステープで仕上がった。襟ぐりのカーブが美しい。ところが、全体に目を配ると袖がヘン。右と左が反対についていた。ああ、かなしい。縫い直しをした。仕上がったので袖を通すと、ぴったりと肌に合う。「弘法も筆の誤り」というが袖でよかった。両腕が左右反対だったらサスペンス劇場に登場したろうに。体は親から授かったたまもの。親をあがめる心に深い愛情と感謝を。
  姶良市 堀美代子 2017/1/4 毎日新聞鹿児島版掲載

時代伝える建物

2017-01-08 18:51:22 | はがき随筆
 鹿児島市内にある優れた近代建築を無料で公開し、普段は室内に入れない私邸などが見学できる催しに参加した。JR鹿児島中央駅から200㍍東側にある小さな洋館と唐湊にある豪邸「K」を見て回った。小豆色をした三角屋根の洋館は大正初期の物で、天井飾りを見上げ1世紀前の空間を楽しむ。真っ白な鉄筋2階建の豪邸は、5年前に建てられ曲線のひさしをキノコ状の柱が支える斬新なフォルム。2階テラスは白い円筒形の茶室を囲む水盤に。建築物は時代も建材の一つと思う。一方でためらいなく文化財の建物が壊されるのはなぜ。
  鹿児島市 高橋誠 2017/1/3 毎日新聞鹿児島版掲載