半世紀以上の昔、夫が他界し15歳の息子と二人残された。
今、世界は新型コロナウイルスにより、多くの人が闘いいまだ終わらずに続いている。私は昔の苦労と今の苦痛とどちらが大変か考える。
夫の死と時を同じくして地元の鉱山が閉山した。商いで暮らす身は生活の糧を失ったが、今頑張らなければ後がない。
悲しみは生きることの尊さを教えてくれた。息子にはただまっすぐに育ってほしい。いくら働いても疲れなかった。
青い山、紺碧の川、忍び音もらす幼い鳥にも癒された。
今、何を頑張るのか?
宮崎県延岡市 逢坂鶴子(93) 2020/5/11 毎日新聞鹿児島版掲載