大平台温泉、近くに箱根登山鉄道の大平台駅がある。次の駅が宮ノ下駅。この区間を往復した。片道130円、往復260円。
宮ノ下の冨士屋ホテルを訪れる為ではない。
東海道の旅籠藤屋が戦後、外国人用の日本最初のリゾートホテルに変身。
箱根山の西武と東急の開発戦争の地、奈良屋旅館との確執の歴史があった。
藤屋は西洋志向、奈良屋は愛国主義、結果は西洋文化が大和魂を駆逐する。
外交官ナンバーの車が国道1号を走る、宮ノ下の冨士屋ホテルが目的地。
道草した。
アブト式・ロープウエー・ケーブルカー・ループ、急斜面を登る人類の知恵の一つのスイッチバックを体験したかったから大平台温泉に投宿した。
粘着式鉄道の勾配限界は千分率で80‰、3両45メートルの電車の運転手と車掌の高低差は3メートル60センチ。
そして半径30メートルの急カーブ。電車は14660ミリの長さ。線路幅は1435ミリと新幹線と同じ。
車なら5分で通過する箱根駅伝選手が15分で走る距離を20分費やす鈍足。
こんな過酷な線路を電車は交代で一時間に四往復する。箱根駅伝は正月に一往復。
春には江ノ電に乗った。大勢の人が移動をのんびり楽しんでいる。
高速ですっ飛ばす、価値あることだろうか?
箱根山、駕籠に乗る人担ぐ人、そのまた草履作る人。多様な価値観が存在する事は豊かさなのだろう。
帰宅してから図書館で調べたら、トンネルを抜けると大平台駅と上大平台信号所の2段スイッチバックを終えるとトンネルに入る他に、塔ノ沢駅と大平台駅の間の 出山信号所で一段スイッチバックが有った。
奇数回のスイッチバックだから箱根湯本を先頭で走り出した運転台は強羅に着いたらびりっけつ。終着駅を始発駅にして箱根山を下ると箱根湯本駅では先頭になれる。
先頭だからと言って威張ってはいけない、びりっけつだからと言ってしょげる事もない。
箱根湯本駅⇒塔ノ沢駅⇒出山信号所⇒大平台駅⇒大平台信号所⇒仙人台信号所⇒宮ノ下駅⇒小涌谷駅⇒彫刻の森駅⇒強羅駅
箱根湯本の標高は108m、強羅駅は553m、標高差445m、距離8900m、平均勾配50‰
一キロメートルで50mの標高を稼ぐ、百メートルで5m、一メートルで5センチの勾配である。人間にとっては問題にならない傾斜であるが、電車にとっては過酷、人間が創った電車が人間の能力を越える事は決してないのである。
飛行機が空を飛ぶ、人間は空を飛べないから不自然の極み、極めて危険な乗り物だから搭乗したら一心不乱にお祈りし神仏のご加護にすがる以外に方法が見つからない。
機械は人間の奴隷、しかし福島第一原発は人間を放射能除去の奴隷にしてしまった。