少年時代の遠足は、文字通り遠くに足で歩いて行く事であった。近くの神社や河原や里山である。握り飯が唯一の持ち物で、握り飯の無い仲間もいた。終戦後の貧しい時代だった。
6年生の時の遠足は、信越線の蒸気機関車の牽引する列車で、直江津海岸の巨大な船を見て吃驚仰天した印象が甦るのである。子沢山の貧しい家計から旅費を捻出する為の母親の苦労は、当時知ることも無かった。山国の信州善光寺の盆地で、草野球が唯一の遊 . . . 本文を読む
北京オリンピックの聖火リレーが長野市で行われました。警察の過激な警備は、中国政府のチベット自治区統治問題で騒乱が続いている中国の国内事情で、ダライラマ14世のラマ教のチベット人と中国のエリートが反目している余波なのです。
そもそも聖火リレーの発祥は、ドイツの政権を奪取し、同国の国民からの支持を背景に当時隆盛を誇っていたアドルフ・ヒトラー率いるナチス党が首都・ベルリンでドイツ第三帝国の威信をかけて . . . 本文を読む
世間には想像を絶することを考え、実行する人がいるものですね。私の趣味の一つは鉄道の時刻表で、旅を組み立て空想の旅をすることで、バーチャルの旅をするのです。経費が要らないからどの様な旅も可能ですが、しかし実行するには勇気と金が要ります。
私の空想の旅を実行している人が多数存在することを、メディアで知り、たとえば鉄道による県庁所在地早周り。鉄道駅を全て下車して写真に収める。一筆書きで最大数の鉄道線を . . . 本文を読む
人が万物の霊長と言われるのは、道具を作ることができるからである。道具のルーツは食料を調達する為の物である。狩猟採集時代は動物を捕獲する武器であり、農耕時代は畑を耕す鋤・鍬の類の石器である。そして火を制御することを学んだ人類は土器を発明して、摂取可能な食料の範囲を広げた。そして自給自足していた。道具は食料を調達する手段で、食事で生命を持続するのが目的である。そして幸福を感じた純朴な人間だった。
時 . . . 本文を読む
2008年は本州と北海道を結ぶ青函トンネルと本州と四国を連結する瀬戸大橋が開通20周年の年である。1988年の翌年は平成時代となるから、昭和時代の夕焼けが青函トンネルと瀬戸ビッグブリッジなのである。そして落日が廃止20周年の青函連絡船と宇高連絡船である。そして隧道と橋梁の巨大プロジェクトの推進役が、連絡船の悲惨な事故なのである。事象はお互いに複雑に絡み合う諸法無我の世界であるとお釈迦様が言っている . . . 本文を読む
生き甲斐は天寿を全うする事である。死なない為に食事をしなければならない。食料を得る為に働かなければならない。生き甲斐は労働である。簡単な3段論法を失念しているのが、現代人である。
お袋の味噌汁の味が忘れられない。1945年8月15日の昭和天皇の「大東亜戦争終結ノ詔書、天皇の肉声(玉音)」放送で戦争は終わった。終戦の前年の3月が誕生日である。乳飲み子で何も記憶に無い。親父の就職先を目指して、信越線 . . . 本文を読む
善は、道徳的な価値としての良さ。道徳的に正しい事、多くの人が是認するようなもの。道徳・倫理・モラルとは、社会や共同体において習慣の中から生まれ、通用するようになった規範のことである。社会的習慣や礼儀・作法もその範疇にあるとされ、自然発生的な教えが多く、明確な定義はない。人間基準の判断で、絶対善や絶対悪は存在せず、相対的に善の部分が多いから、善であるという考え方である。だから救われるのである。地獄に . . . 本文を読む
仏教には密教と顕教がある。密教は秘密仏教の略で、護摩供は神秘的、陀羅尼は難解で、俗人には、胡散臭く、怖さすら感じる語感がある。顕教は大乗仏教で民衆に向かい広く教義を言葉や文字で説くが、密教は師匠と弟子の師資相承による。奈良時代の学問仏教の時代を経て、平安時代の遣唐使の一行の最澄(伝教大師)と空海(弘法大師)により宗教としての仏教が伝来した。
最澄は天台教学・禅・戒と片手間に密教のアウトラインを最 . . . 本文を読む
平日に田舎の温泉を訪ねる為に、一般国道・153号線を走行した。都市部を離れると、道路には車が無く、対向車もめったに来ない。路肩の歩道を歩く人影も無い。交通信号は黄色の点滅信号で、バイパスが市街地を避けて整備されているからほとんどノンストップで目的地に到着できる。高速道路と変わらない時間で目的地に到達可能である。荒れた棚田や休耕田を挟んで道路が網目のように存在する。日本国には道路が多すぎる。昔は中馬 . . . 本文を読む
春になった。筍の季節到来である。日本全国の彼方此方で筍がにょきにょき顔を出して食べて下さいと言っている。筍を人間が間引かないと、竹薮が里山を占領してしまう。竹の生命力は極めて旺盛である。その遺伝子を頂戴すると人間の生命力も旺盛になる。
同行二人の四国遍路旅でお世話になった、大歩危・旅人の宿「空音遊」の主人ノリさんも裏山の重労働の筍掘りに汗を流している。そして地域の住民におすそ分けして爺さん婆さん . . . 本文を読む
名鉄電車の東岡崎駅から名古屋に向かうと直ぐに岡崎城が見える。岡崎城(龍城)は、愛知県岡崎市康生町にあった城で現在は岡崎公園として整備され、天守などが復元されている。徳川家康生誕の地として有名である。春の桜、夏は花火で人気がある。
付近は昔々、繁華街として活況を呈したが、自動車社会は買い物客を郊外のスーパーに誘導し、人の寄り付かない廃村の様相を呈していた。最近、百貨店とホテルの跡地に、巨大マンショ . . . 本文を読む
一人留守番をしている。四国区切り遍路旅の疲れ、定年まで残り一年を切った仕事の勤続疲労で体調が思わしくない。漠然とした不安が頭をもたげ、心を占有する。いらいらする、そわそわする、過去の嫌な思い出ばかりが何故か心に浮かぶ。本を読んでみるが、没入できない。好きなビデオで映像を見るが、心が晴れない。
昼で日が高いが酒を飲むことにする。少しの酒に酔い、寝てしまった。数時間の睡眠の後、目覚めた。不安が霧散し . . . 本文を読む
親を亡くして以来、仏教に興味がある。葬式の時、江戸時代の制度の名残で、浄土真宗が親父の檀家であることを知り、お袋は真言宗の家から嫁いできた経歴を聞いた。戦後の学校教育は宗教教育を除外しているから知識が無く、理解できなかったのであるが、以来独学の仏教研究が生甲斐になっている。 仏教の国民大衆に浸透した水流は、平安時代の伝教大師最澄の天台宗と弘法大師空海の真言宗の2つの水源がある。天台宗は栄西・道元 . . . 本文を読む
通勤に利用する名古屋鉄道の電車での体験である。旅好きの私は、移り変わる景色を見て、毎日違った気付きを経験している。最近は景色が見える運転席の近くの座席に腰掛けるのが習慣になった。様々な運転手が一人で指差呼称しながら安全に電車を運行している。
昇進試験なのだろか、初老の太い金線帽子と若い細い金線の帽子の二人が運転席にいる。太い金線帽子の上司と部下なのだろう。部下が運転して、上司がチェックしている。 . . . 本文を読む
春の「青春18きっぷ」の有効期限は4月10日である。最後の休暇は9日しかないので、出掛けることにした。前日の午前中まで雨降りであったが、今日は晴れている。昨晩は会社の仲間と焼肉屋で飲み会があり、疲れが残っているが、行動を開始した。そのモチベーションは「青春18きっぷ」の残り2300円を無駄にしてはならないという使命感で、私は今時珍しい責任感の強い国宝的人間なのである。期限が無ければ自宅で無為に時間 . . . 本文を読む