絵本レベルアップコース・高科正信先生の3回目の授業テーマは「おにの絵本」です。
日本の昔話には、よく「おに」が出てきますね。
「おに」の存在とは一体何なのでしょうか。
昔へさかのぼること、平安時代。
奈良の平城京をわずか10年で京都の平城京へ移した桓武天皇が恐れたのは
怨霊の祟りと、権力を奪おうとする側近達でした。
平安京には、要所要所に「おに」封じのしるしを配置しました。
北に玄武(黒)、南に朱雀(赤)、東に青龍(青)、西に白虎(白)です。
それぞれ順に、山・池・川・道がある方角です。
また、艮(うしとら)の方角は鬼門とされ、おにが出るということで、陰陽師をここに住まわせ退治させたそうです。
権力者が恐れるのは、自然現象の稲光、暗がり、闇、なども、科学技術が発達していない当時は恐しい存在だったのでしょう。
自分の意のままにならない側近や蝦夷なども、恐れて排除していったそうです。
本日紹介された本です。
『だいくとおにろく』再話 松井直/絵 赤羽末吉
『ゆきこんこんものがたり』文 さねとうあきら/絵 井上洋介
『かっぱのめだま』文 さねとうあきら/絵 井上洋介
『島ひきおに』文 山下明生/絵 梶山俊夫
『ゼラルタと人食いおに』作・絵 トミー・ウンゲラー/訳 たむらりゅういち・あそうくみ
『もりのおばけ』作・絵 片山健
上記の作品の中には、人を信じて疑わない、裏切られても信じ続ける「おに」が描かれています。
「おに」と人間、一体「おに」とはどちらなのか?人間の方ではないのか、と問うています。
「おに」=悪ではない。
先日お亡くなりになられた水木しげるさんの言葉で、この世の中で一番恐いのは人間ではないか、というものがあります。
「おに」とは、人の心の中にいるもの。
善悪を簡単に分けられる訳はない。誰でも善と悪、どちらも持っているからです。
「おに」をテーマとするお話を描く時には「おに」の二面性を描けるかどうかが大事です。
また、「おに」と人が簡単に仲良くなることは難しいとも言えます。
次回課題が出ています。
「絵本のテキストを書く」
◎うさぎ、ひよこ、あひる の三つの動物が出てくる絵本(物語)の文章(テキスト)を15見開きで書いて下さい
◎動物が出てくる順番は自由で、主人公も自由
◎締切…来年1/9(土)必着
以上です。
よろしくお願いします。