この日の “掴み” は、確定申告についてでした。
先生は、本の購入や展覧会に行くことも取材費(必要経費)に計上していて
美術館の入場料や交通費も詳細に記録しているそうです。
文筆業も職業ですから、事務的なことも必要になってくるのですね。
授業を始める前に、生徒さんから質問がありました。
「文章量が決められていない課題の場合、どうしたら良いのでしょうか?」先生の答えは
①自分でどのくらいの分量にするか、先に決めてから書く。
②長く書いてから削る。必要なものは加える。
③他の人に読んでもらうことも大切。 ということでした。
授業はまずテキスト『書く力』(池上彰・竹内政明/朝日新書)から、
・なぜその本が好きなのかを分析してみる
・「控えめな表現」の効用
・「たとえ」の作り方
・「です・ます」調と「だ・である」調の使い分け
のところを見て行きました。
文章がうまくなるには、とにかくたくさんの本を読むことが必要で
その中から自分の好きな本を見つけ、なぜ良いと思ったのかを自分なりに分析することが
文章を書く栄養分になる、というのです。
自分でしっくりくる表現を探して、類語辞典を引いたり
倉嶋厚の『雨の言葉辞典』(講談社学術文庫)のような本で言葉を知るのも良いでしょう。
文末の違いで、呼んだ時に受ける印象が変わってきます。
「です・ます」は柔らかく、「だ・である」は硬い感じ。
読み手にリラックスしてもらいたいか、緊張感を持って欲しいかで使い分けてください。
次に、江國滋の『日本語八つ当たり』(新潮社)から
・とりあえず三つ
・五十音順 のところを見ていきました。
江國さんがきらいな日本語の語法を三つと、ジェンダーにまつわる言葉について好き勝手に書いておられます。
1989年出版の本なので、少し古い感じもしますが
文章を書くうえで今一度気を付けなければいけないことに留意するべきでしょう。
それから、符号の使い方について教わりました。
・「……」(思考点)は省略や余情を表す時に使い、「——」(思考線)は余情効果を持たせたり問題を提起したり、注記する時に使う
・「?」「!」はここぞという時にだけ使って、多用しないほうが良い
・「々」などの繰り返し記号はそれだけでは意味をなさないので、行頭に来る時は使わずに繰り返す文字をもう一度書く
など、頭に入れておいた方が良いことばかりでした。
そして、まどみちおの詩「イヌが歩く」と「地球の用事」を読んで
前回の課題「冬のさんぽ道」に求められたものを考えました。
長田弘は『散歩する精神』の中で、「散歩には散歩する精神が必要だ」と言っており
日本サッカーの父、デッドマール・クラマーは
「目は何も見えない 耳は何も聞かない
見るのは精神であり 聞くのは精神である」という言葉を残しています。
散歩を通して、何かを見つけるためには明確な意思が必要だということを理解しようとのことでした。
例えば岩槻秀明の『散歩の草花図鑑』(ビジュアルだいわ文庫)などを手に歩いてみると
気になった草花が何か調べることができて、散歩がより楽しくなります。
最後は今回の課題「絵本のテキストを書く」についての説明でした。
絵本というのは絵と文章でできているもの(中には文のないものや絵のないものもあります)で、
小さい子どもからお年寄りまでが手にする書物です。
絵本はページをめくってお話を読み進めるので、 “めくることが引き立つ媒体” といえます。
絵本は印刷の都合上8の倍数のページで構成されていて、
そのうち最初と最後のページはストーリーとは違う使い方をされるので
24pの本なら11見開き、32pの本なら15見開きで話を構成を考えるのが基本です。
そのことをふまえて、今回は11または15見開きのお話を全てひらがなで書きます。
テーマは「一週間絵本」。主人公(誰でも・何でも良い)がいて、7日間に何かが起きるお話を考えてください。
絵本自体は左開き(左から右へめくる)の横書きと、右開き(右から左へめくる)の縦書きのものがありますが
今回はまず原稿用紙に縦書きで書いてみます。
ページをめくるところでは1〜2行あけて、文章のない見開きは「文章(キャプション)なし」と書き、
文字ではなく絵で説明したいところにはト書きを入れます。
読者の高揚感を引き出すために、どんな風にお話を展開していくか考えましょう。
7日間の推移が分かれば、曜日は分からなくても構いません。
突拍子もないアイデアを出すとおもしろいのではないか、ということで
長新太の『月夜のキャベツくん』(文研出版)と、高科先生の『たまのりおたまちゃん』(フレーベル館)を読み聞かせてくださいました。
絵本の文章は何度も書き直して、声に出して読んでみることが大事です。
川本三郎は絵本の評論の中で
「絵本は読者をここではないどこかに連れて行ってくれるもの」と言っています。
長新太の「絵本おまんじゅう論」によると、
絵本の絵と文はおまんじゅうのあんこと皮とに似ていて、どちらかが多すぎないほどよい関係だそうです。
今回は文章だけを書くのですが、どんな絵が入るのかも想像しながら
オリジナルの楽しいお話を作ってください。
よろしくお願いします。
先生は、本の購入や展覧会に行くことも取材費(必要経費)に計上していて
美術館の入場料や交通費も詳細に記録しているそうです。
文筆業も職業ですから、事務的なことも必要になってくるのですね。
授業を始める前に、生徒さんから質問がありました。
「文章量が決められていない課題の場合、どうしたら良いのでしょうか?」先生の答えは
①自分でどのくらいの分量にするか、先に決めてから書く。
②長く書いてから削る。必要なものは加える。
③他の人に読んでもらうことも大切。 ということでした。
授業はまずテキスト『書く力』(池上彰・竹内政明/朝日新書)から、
・なぜその本が好きなのかを分析してみる
・「控えめな表現」の効用
・「たとえ」の作り方
・「です・ます」調と「だ・である」調の使い分け
のところを見て行きました。
文章がうまくなるには、とにかくたくさんの本を読むことが必要で
その中から自分の好きな本を見つけ、なぜ良いと思ったのかを自分なりに分析することが
文章を書く栄養分になる、というのです。
自分でしっくりくる表現を探して、類語辞典を引いたり
倉嶋厚の『雨の言葉辞典』(講談社学術文庫)のような本で言葉を知るのも良いでしょう。
文末の違いで、呼んだ時に受ける印象が変わってきます。
「です・ます」は柔らかく、「だ・である」は硬い感じ。
読み手にリラックスしてもらいたいか、緊張感を持って欲しいかで使い分けてください。
次に、江國滋の『日本語八つ当たり』(新潮社)から
・とりあえず三つ
・五十音順 のところを見ていきました。
江國さんがきらいな日本語の語法を三つと、ジェンダーにまつわる言葉について好き勝手に書いておられます。
1989年出版の本なので、少し古い感じもしますが
文章を書くうえで今一度気を付けなければいけないことに留意するべきでしょう。
それから、符号の使い方について教わりました。
・「……」(思考点)は省略や余情を表す時に使い、「——」(思考線)は余情効果を持たせたり問題を提起したり、注記する時に使う
・「?」「!」はここぞという時にだけ使って、多用しないほうが良い
・「々」などの繰り返し記号はそれだけでは意味をなさないので、行頭に来る時は使わずに繰り返す文字をもう一度書く
など、頭に入れておいた方が良いことばかりでした。
そして、まどみちおの詩「イヌが歩く」と「地球の用事」を読んで
前回の課題「冬のさんぽ道」に求められたものを考えました。
長田弘は『散歩する精神』の中で、「散歩には散歩する精神が必要だ」と言っており
日本サッカーの父、デッドマール・クラマーは
「目は何も見えない 耳は何も聞かない
見るのは精神であり 聞くのは精神である」という言葉を残しています。
散歩を通して、何かを見つけるためには明確な意思が必要だということを理解しようとのことでした。
例えば岩槻秀明の『散歩の草花図鑑』(ビジュアルだいわ文庫)などを手に歩いてみると
気になった草花が何か調べることができて、散歩がより楽しくなります。
最後は今回の課題「絵本のテキストを書く」についての説明でした。
絵本というのは絵と文章でできているもの(中には文のないものや絵のないものもあります)で、
小さい子どもからお年寄りまでが手にする書物です。
絵本はページをめくってお話を読み進めるので、 “めくることが引き立つ媒体” といえます。
絵本は印刷の都合上8の倍数のページで構成されていて、
そのうち最初と最後のページはストーリーとは違う使い方をされるので
24pの本なら11見開き、32pの本なら15見開きで話を構成を考えるのが基本です。
そのことをふまえて、今回は11または15見開きのお話を全てひらがなで書きます。
テーマは「一週間絵本」。主人公(誰でも・何でも良い)がいて、7日間に何かが起きるお話を考えてください。
絵本自体は左開き(左から右へめくる)の横書きと、右開き(右から左へめくる)の縦書きのものがありますが
今回はまず原稿用紙に縦書きで書いてみます。
ページをめくるところでは1〜2行あけて、文章のない見開きは「文章(キャプション)なし」と書き、
文字ではなく絵で説明したいところにはト書きを入れます。
読者の高揚感を引き出すために、どんな風にお話を展開していくか考えましょう。
7日間の推移が分かれば、曜日は分からなくても構いません。
突拍子もないアイデアを出すとおもしろいのではないか、ということで
長新太の『月夜のキャベツくん』(文研出版)と、高科先生の『たまのりおたまちゃん』(フレーベル館)を読み聞かせてくださいました。
絵本の文章は何度も書き直して、声に出して読んでみることが大事です。
川本三郎は絵本の評論の中で
「絵本は読者をここではないどこかに連れて行ってくれるもの」と言っています。
長新太の「絵本おまんじゅう論」によると、
絵本の絵と文はおまんじゅうのあんこと皮とに似ていて、どちらかが多すぎないほどよい関係だそうです。
今回は文章だけを書くのですが、どんな絵が入るのかも想像しながら
オリジナルの楽しいお話を作ってください。
よろしくお願いします。