今回は、先生のお住まいの近くに空き地があり、そこは土地が肥沃で一年中違う花が咲くという話から始まりました。
秋の終わりに全部きれいに伐採されたのに、今はラッパズイセンとヒメオドリコソウが咲いていて、
季節が変わればアジサイやダリアも咲く。このように移り変わりながら、花を付けていきます。
全部伐採してしまうと、その下に生えている別の草が一斉に出番を迎えて、芽を出し、花を咲かせる。
出番が来るまで、土の中でじっと待っているのです。自然ってすごいですよね。
ウイルスは人類が登場するはるか昔から存在しているといいますから、コロナの流行も今出番が来ただけなのかも…
授業の前に、先生のお知り合いの作家さんの新刊を紹介してくださいました。
森忠明さんの『末弱記者(すえよわきしゃ)』(株式会社Tuulee)です。
弓道には「末強(すえづよ)」という言葉があり、矢が的に当たるまで強い勢いを失わないことを指すそうで、
書名の「末弱」はそれとは真逆な意味で使われています。
児童文学作家である森さんは、“冷めた子どもの目で見る” ような作品を書いておられるそうですが、
本書は『飛ぶ教室』(光村図書出版)や、その他の出版物に掲載された短編をまとめたものです。
高科先生は森さんの作品をほとんど読んでおり、大好きだとおっしゃっていました。
そして、テキスト『日本語の<書き>方』(森山卓郎 著・岩波ジュニア新書)に入ります。
今回は前回の「第3章 『文』を組み立てる」の続きで、72p〜84pまでいつものように順番に音読します。
2. 語の位置関係
・予想を裏切る文
・倒置法
ここでは、3回目の授業の時にも使用した瀬戸賢一の『日本語のレトリック: 文章表現の技法』 (岩波ジュニア新書)から、例文を見ていきました。
倒置法は文章の中にあることばの順番を変えると、表現の効果が出るというものです。
日本語は語順を変えても意味が通じる言葉ですが、普通の順番と変えるのはあくまでも効果を狙う場合ですので
たまに使うのはよいですが、基本的にがあまり使わない方がよいでしょう。
3. 表現の効果を考える
・助詞の選び方──「お池のまわりに」?「お池のまわりで」?
・「空を」?「空で」?
・文章を生き生きとさせる文末──瞬間的解像度を上げるには?
・時間を止める描写?──出来事の流れと状態表現
・文章を生き生きとさせる会話、そして伝聞
文章を書くとき、助詞はどれを使うか、必ず考えてから書きましょう。
基本的に主語には「、」を打ちませんが、強調する場合には打つこともあります。
また、強い印象を与えるときには、敢えて違和感のある使い方をするときもあります。
同じ文末が続くときはどれか一つ変えてみたり、リズムや躍動感、臨場感を出すようにしたり…
助詞の選び方一つで、よりよく情景が思い浮かぶようにもなりますので
文章を書くときは、立ち止まって考えるのも大切なことですね。
テキストを終え、今回紹介してくださる詩人は茨木のり子。
詩集『おんなのことば』(童話屋)から、「女の子のマーチ」「わたしが一番きれいだったとき」「汲む─Y・Yに─」の3編を見ていきました。
2006年に79才で亡くなった彼女の作品は言葉に力があって、今でもたいへん人気があり
1999年に出版された『倚りかからず』(ちくま文庫)は、詩集としては異例の20万部を超すベストセラーだそうです。
エッセイ集『一本の茎の上に』(ちくま文庫)や、『詩のこころを読む』(岩波ジュニア新書)なども薦めてくださいました。
その後、前々回の課題「ふゆの絵本のテキストを書く」について、参考になる冬の絵本を読み聞かせてくださいました。
エズラ・ジャック・キーツ『ゆきのひ』、片山令子/文・片山健/絵『つめたいあさのおくりもの』、筒井頼子/文・片山健/絵『ながれぼしをひろいに』
の3冊です。
いずれも始まりがあって、主人公が登場し、副主人公や行きずりの登場人物を巻き込みながら物語は展開していきます。
真ん中辺り(とは限りませんが)にお話の分岐点があり、お終いに向かって進んでいく、という構成です。
前回提出してもらった作品は、どうやら皆さん苦手だったようですので、もう一回チャレンジしてみましょう!
ということで、今回のテーマは「もり(森)」です。森に関する、森を舞台にした創作絵本のテキストを書いてください。
森のイメージはどんな感じですか?
木が多い、自然がいっぱい、人ではないものたちが住んでいる、迷い込んだら出られない、明るいところではない…
皆さんいろんなイメージがあるようです。
マリー・ホール・エッツの『もりのなか』や、長田弘/文・荒井良二/絵のい『森の絵本』のように
森をテーマにした絵本はたくさんあります。
「創作=つくりばなし」は、こんなことがあったらおもしろいだろうと想像し、妄想することで、人間が生きていくうえで大切なことです。
とりわけ絵本は子どもから大人まで楽しめて、川本三郎によれば「ここではないどこかへ連れて行ってくれるもの」です。
内容はリアリズムでもファンタジーでも、どんな森でもお話の中に何が出てきても何が起こってもOKです。
難しい漢字は使わないようにすることだけ気をつけて、皆さん頑張ってください。
次回の授業は2月12日(土)です。よろしくお願いいたします。
秋の終わりに全部きれいに伐採されたのに、今はラッパズイセンとヒメオドリコソウが咲いていて、
季節が変わればアジサイやダリアも咲く。このように移り変わりながら、花を付けていきます。
全部伐採してしまうと、その下に生えている別の草が一斉に出番を迎えて、芽を出し、花を咲かせる。
出番が来るまで、土の中でじっと待っているのです。自然ってすごいですよね。
ウイルスは人類が登場するはるか昔から存在しているといいますから、コロナの流行も今出番が来ただけなのかも…
授業の前に、先生のお知り合いの作家さんの新刊を紹介してくださいました。
森忠明さんの『末弱記者(すえよわきしゃ)』(株式会社Tuulee)です。
弓道には「末強(すえづよ)」という言葉があり、矢が的に当たるまで強い勢いを失わないことを指すそうで、
書名の「末弱」はそれとは真逆な意味で使われています。
児童文学作家である森さんは、“冷めた子どもの目で見る” ような作品を書いておられるそうですが、
本書は『飛ぶ教室』(光村図書出版)や、その他の出版物に掲載された短編をまとめたものです。
高科先生は森さんの作品をほとんど読んでおり、大好きだとおっしゃっていました。
そして、テキスト『日本語の<書き>方』(森山卓郎 著・岩波ジュニア新書)に入ります。
今回は前回の「第3章 『文』を組み立てる」の続きで、72p〜84pまでいつものように順番に音読します。
2. 語の位置関係
・予想を裏切る文
・倒置法
ここでは、3回目の授業の時にも使用した瀬戸賢一の『日本語のレトリック: 文章表現の技法』 (岩波ジュニア新書)から、例文を見ていきました。
倒置法は文章の中にあることばの順番を変えると、表現の効果が出るというものです。
日本語は語順を変えても意味が通じる言葉ですが、普通の順番と変えるのはあくまでも効果を狙う場合ですので
たまに使うのはよいですが、基本的にがあまり使わない方がよいでしょう。
3. 表現の効果を考える
・助詞の選び方──「お池のまわりに」?「お池のまわりで」?
・「空を」?「空で」?
・文章を生き生きとさせる文末──瞬間的解像度を上げるには?
・時間を止める描写?──出来事の流れと状態表現
・文章を生き生きとさせる会話、そして伝聞
文章を書くとき、助詞はどれを使うか、必ず考えてから書きましょう。
基本的に主語には「、」を打ちませんが、強調する場合には打つこともあります。
また、強い印象を与えるときには、敢えて違和感のある使い方をするときもあります。
同じ文末が続くときはどれか一つ変えてみたり、リズムや躍動感、臨場感を出すようにしたり…
助詞の選び方一つで、よりよく情景が思い浮かぶようにもなりますので
文章を書くときは、立ち止まって考えるのも大切なことですね。
テキストを終え、今回紹介してくださる詩人は茨木のり子。
詩集『おんなのことば』(童話屋)から、「女の子のマーチ」「わたしが一番きれいだったとき」「汲む─Y・Yに─」の3編を見ていきました。
2006年に79才で亡くなった彼女の作品は言葉に力があって、今でもたいへん人気があり
1999年に出版された『倚りかからず』(ちくま文庫)は、詩集としては異例の20万部を超すベストセラーだそうです。
エッセイ集『一本の茎の上に』(ちくま文庫)や、『詩のこころを読む』(岩波ジュニア新書)なども薦めてくださいました。
その後、前々回の課題「ふゆの絵本のテキストを書く」について、参考になる冬の絵本を読み聞かせてくださいました。
エズラ・ジャック・キーツ『ゆきのひ』、片山令子/文・片山健/絵『つめたいあさのおくりもの』、筒井頼子/文・片山健/絵『ながれぼしをひろいに』
の3冊です。
いずれも始まりがあって、主人公が登場し、副主人公や行きずりの登場人物を巻き込みながら物語は展開していきます。
真ん中辺り(とは限りませんが)にお話の分岐点があり、お終いに向かって進んでいく、という構成です。
前回提出してもらった作品は、どうやら皆さん苦手だったようですので、もう一回チャレンジしてみましょう!
ということで、今回のテーマは「もり(森)」です。森に関する、森を舞台にした創作絵本のテキストを書いてください。
森のイメージはどんな感じですか?
木が多い、自然がいっぱい、人ではないものたちが住んでいる、迷い込んだら出られない、明るいところではない…
皆さんいろんなイメージがあるようです。
マリー・ホール・エッツの『もりのなか』や、長田弘/文・荒井良二/絵のい『森の絵本』のように
森をテーマにした絵本はたくさんあります。
「創作=つくりばなし」は、こんなことがあったらおもしろいだろうと想像し、妄想することで、人間が生きていくうえで大切なことです。
とりわけ絵本は子どもから大人まで楽しめて、川本三郎によれば「ここではないどこかへ連れて行ってくれるもの」です。
内容はリアリズムでもファンタジーでも、どんな森でもお話の中に何が出てきても何が起こってもOKです。
難しい漢字は使わないようにすることだけ気をつけて、皆さん頑張ってください。
次回の授業は2月12日(土)です。よろしくお願いいたします。