今日はRHSJ主催の「東西植物アート~絵画に姿をとどめる植物たちと園芸~」という講習会に参加してきました.
二部構成で,初めの部はオランジェリーコレクションの大根先生によるボタニカルアートのお話,二部では太田記念美術館主幹学芸員の日野原先生による浮世絵の中に描かれている植物についてのお話でした.
ボタニカルアートのお話では,ボタニカルアートは花の肖像画と言われますが,植物画とボタニカルアートの違いと歴史,植物と人々の生活の関わり,版画・印刷などの技術的な解説について今まで知らなかったような内容を順を追ってとてもわかりやすく解説してくださいました.
そして!!
なんと会場には本物のボタニカルアートや,が所狭しと並べられ,石版や銅板までありました.
それらに直接触れてもいいということで,顔を近づけ拡大鏡で石版印刷と銅版印刷の違いをじっくり観察したり,数百年前の直に彩色された本を手に取りページをめくりながら顔料で塗られている絵を間近で見つめたりと,眼福の境地でした.
やまめも植物とじっくり向き合って描きたくなってしまいました.
色々と面白いお話がつまっていたのですが,その中でちょっと笑えるのが,イギリスで刊行された,ロンドン近郊に咲いている植物画の本(カーチス著,1777年)のエピソード.
近所に生えている地味な植物だけを描いたものだったそうで,人々の興味を引かずに1年で廃刊,その後プラントハンターが持ち帰った珍しい植物を描くことで本が売れるようになったそうです.
万国共通,足下に生えている雑草的なものにはなかなか興味を持ってもらえないものなんですね.
地味な花の中にはジギタリスも入っていました.
確かに地味・・・
クリスマスローズのフェチダスなどは17世紀初めに描かれていました.さすが,大航海時代.
最近園芸店でよく見かけるなぁと思っていたのですが,ずっと昔から栽培されていたんだなぁと改めて気づきました.
有名な原画家の裏話などもとても面白く,あっという間の2時間でした.
ついで,日野原先生の浮世絵と園芸に関するお話でしたが,観賞する人々の社会的な階層や技法,役割などがボタニカルアートとは全く違うので,二倍楽しい講演の組み合わせになっていました.
数年前に原宿の太田記念美術館で開催された浮世絵にみる江戸園芸文化をテーマにした展示を見ているのですが,今回はその浮世絵のコレクターの方の協力があったため,直にそれらの絵を見ることも出来ました.
江戸時代の植木屋さんや植木市の様子,家での植物の手入れの様子,流行の鉢やイベントでくられた菊人形,百種の接ぎ木をして咲かせた菊の花,子供が植物名を覚えるために刷られた図鑑おもちゃ絵などなど.
江戸時代のじょうろも今と変わらないものから,こんなんじゃ水やり大変なのでは?と思ってしまうものまで,実物を見てみたくなりました.
こちらも目の保養です.
浮世絵は使う色ごとに版木をいくつも作るため,重ねたときに線がずれないようにする事と,内容が流行や話題性を持ったものなのでスピーディに対応しなければならないことなどボタニカルアートとはかなり条件が違う点がありますが,そこは日本人気質.
きっとこれは外国では浸透しない技術じゃないかなと思います.
また,ボタニカルアートは非常に忠実に細かく植物を描きますが,浮世絵ではかなり少ない線で輪郭を表現し,平面的な絵になっています.
これもけして表現できないわけではなく,日本人の美意識故のことだということです.
これが引き算の発想なのでは??と思いました.
そして江戸の人たちが生活の中で少しでも緑を取り入れ,四季を楽しみ植物を愛でていたことがよくわかり,自分もその流れを汲んでいるのかなと考えると遠い昔の様子だとは思えません.
植物好きの気持ちは時を超え,息づいている気がします.
これも日本人としての原風景のひとつと考えていいのではないしょうか.
二部構成で,初めの部はオランジェリーコレクションの大根先生によるボタニカルアートのお話,二部では太田記念美術館主幹学芸員の日野原先生による浮世絵の中に描かれている植物についてのお話でした.
ボタニカルアートのお話では,ボタニカルアートは花の肖像画と言われますが,植物画とボタニカルアートの違いと歴史,植物と人々の生活の関わり,版画・印刷などの技術的な解説について今まで知らなかったような内容を順を追ってとてもわかりやすく解説してくださいました.
そして!!
なんと会場には本物のボタニカルアートや,が所狭しと並べられ,石版や銅板までありました.
それらに直接触れてもいいということで,顔を近づけ拡大鏡で石版印刷と銅版印刷の違いをじっくり観察したり,数百年前の直に彩色された本を手に取りページをめくりながら顔料で塗られている絵を間近で見つめたりと,眼福の境地でした.
やまめも植物とじっくり向き合って描きたくなってしまいました.
色々と面白いお話がつまっていたのですが,その中でちょっと笑えるのが,イギリスで刊行された,ロンドン近郊に咲いている植物画の本(カーチス著,1777年)のエピソード.
近所に生えている地味な植物だけを描いたものだったそうで,人々の興味を引かずに1年で廃刊,その後プラントハンターが持ち帰った珍しい植物を描くことで本が売れるようになったそうです.
万国共通,足下に生えている雑草的なものにはなかなか興味を持ってもらえないものなんですね.
地味な花の中にはジギタリスも入っていました.
確かに地味・・・
クリスマスローズのフェチダスなどは17世紀初めに描かれていました.さすが,大航海時代.
最近園芸店でよく見かけるなぁと思っていたのですが,ずっと昔から栽培されていたんだなぁと改めて気づきました.
有名な原画家の裏話などもとても面白く,あっという間の2時間でした.
ついで,日野原先生の浮世絵と園芸に関するお話でしたが,観賞する人々の社会的な階層や技法,役割などがボタニカルアートとは全く違うので,二倍楽しい講演の組み合わせになっていました.
数年前に原宿の太田記念美術館で開催された浮世絵にみる江戸園芸文化をテーマにした展示を見ているのですが,今回はその浮世絵のコレクターの方の協力があったため,直にそれらの絵を見ることも出来ました.
江戸時代の植木屋さんや植木市の様子,家での植物の手入れの様子,流行の鉢やイベントでくられた菊人形,百種の接ぎ木をして咲かせた菊の花,子供が植物名を覚えるために刷られた図鑑おもちゃ絵などなど.
江戸時代のじょうろも今と変わらないものから,こんなんじゃ水やり大変なのでは?と思ってしまうものまで,実物を見てみたくなりました.
こちらも目の保養です.
浮世絵は使う色ごとに版木をいくつも作るため,重ねたときに線がずれないようにする事と,内容が流行や話題性を持ったものなのでスピーディに対応しなければならないことなどボタニカルアートとはかなり条件が違う点がありますが,そこは日本人気質.
きっとこれは外国では浸透しない技術じゃないかなと思います.
また,ボタニカルアートは非常に忠実に細かく植物を描きますが,浮世絵ではかなり少ない線で輪郭を表現し,平面的な絵になっています.
これもけして表現できないわけではなく,日本人の美意識故のことだということです.
これが引き算の発想なのでは??と思いました.
そして江戸の人たちが生活の中で少しでも緑を取り入れ,四季を楽しみ植物を愛でていたことがよくわかり,自分もその流れを汲んでいるのかなと考えると遠い昔の様子だとは思えません.
植物好きの気持ちは時を超え,息づいている気がします.
これも日本人としての原風景のひとつと考えていいのではないしょうか.