やまめの庭つくり

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植物のちから

2012-04-09 | 植物
昨年の大震災の後,しばらくして植物に関わる仕事をしている人は,今こそ植物が人の励ましや力になるときではないか,と考えたのではないでしょうか.

でも,それは震災直後にはあまりにも非力に感じ,笑顔を作ることを強要するとか,偽善とか,自己満足なのかも・・・現地に行かなかったらわからないことなので,思考はそこでストップ.

被害に遭われた方が,前を向こう,悲しみから立ち直らなければと自ら考えるときが来たら,初めて植物が明るい気持ちにしてくれる手助けをするのでは,と思ったりもしました.



ところが,実はそうではなかったんだということが,土曜日の桜野良充氏のJLF講演でわかりました.

桜野氏はBISESや趣味の園芸等で活躍しているカメラマンですが,昨年の震災後,現地に4月12日に入り,生々しい爪痕を見て回ったそうです.

プロのカメラマンとして,人が自然から打撃を受けてしまったが,必ず自然と共に復興していくだろうと考えて,その過程を記録として残したいと考えて.

がれきの下から生えてくる水仙などを探して撮影しているときに,突如,そこは誰かの庭で,丹誠込めて育てていた植物を見る人はもういなくなっているかも知れず,そこに土足で入り込んで撮影しているのではないかと思い至り,それ以降も様々な葛藤を感じ,真摯に,謙虚に向かい合いながらの活動が始まったとのことでした.

外部から来た自分がよそ者の目線で撮ろうとしたがれきと無事だった場所の対比,そこに知り合いになった子供たちがにやってきて遊びだしたときに,そこで息づく命のエネルギーを思い知らされて,何か決めてかかっていた自分の勝手な想像を捨てなければ,本当のことは見えてこないと悟ったといいます.

当時はカメラの前では笑顔になれても,家にはいると涙が出てしょうがなかった,外に出て行くことが出来なくなった人がたくさんいたそうです.

そんな人々にとって,花を植えるという作業は外に誘い,つかの間の笑顔,土に触れる感触を味わえる大切な時間をもたらしたそうです.

4月の17日には避難先に井戸水が湧いているところで,花が欲しいといわれたそうです.
まさかこんなに早く,「園芸」が登場することになるとはびっくりしました.

すべてがなくなり,荒廃した景色とニオイにまいってしまっていたので,花で何とか気持ちを明るく出来ないかと相談され,早速,知り合いのナーセリーさんに声をかけたのが花を植える活動のキッカケだそうです.

いくつかの活動を紹介してくれました.

津波の到達点がだんだんわからなくなってきているそうで,そこに杭を打ち,街からその到達点までをサクラを植えて,記憶の風化を防ぎ,避難路としての意識を保ち,町おこしとして復興しようとするところもあります.

津波を免れて安全だった場所には亡くなった人の数だけサクラを植える活動があるそうです.


南相馬では,津波でやられた農地を荒らさないためにヒマワリのタネを植えたそうです.

奥さんを津波で亡くされた方が音頭を取り,全国からタネを集めて作夏には一面のヒマワリ畑が出現したそうです.

南相馬は気候も穏やかで,岩手や宮城の人とは気質がちがうとのこと,東北のラテン系,と自ら紹介してくれる明るい人たちだというお話も印象的でした.

陸前高田では,園芸愛好家の吉田正子さん,オランダのキューケンホフや世界中で活躍されているジャクリーン・クルートさんらを中心に,オランダから寄付された50000球の球根と,大船渡のパンジーを組み合わせてガーデンをみんなで作り,笑顔がよみがえってきたそうです.

気仙沼から手伝いに来た人も地元でこの花畑を作りたいと言うことで,そちらでもこの春たくさんの花が見られるようです.

まだまだ復興しているとは言えない状況の中,気持ちを元気づける意味で花は震災直後から人々のそばにあったことがわかりました.

引きこもってしまいがちな人を外に誘い出し,コミュニティの中に位置づけ,笑顔が出なくても,深くほ~っと息を吐くことが出来た,そんなキッカケに「花を植える」ということが役に立ったそうです.

ただ,受け入れ状況を確認もせずに,花だけ送りつけてくる人もいて,土がないとか,容器がないとか,困ったこともあったようですが,桜野氏のような人が必要とする地域のコーディネートをすることで,たくさんの人が少しずつ笑顔になれたようです.

この活動をすることで,桜野氏は植物の力を改めて感じたそうです.

植物は,植え,育てることで時間を一緒に伴走してくれる存在で,理屈ではなく笑顔にしてくれる力を持っていると.



最後に,ベス・チャトーさんに会ったときに桜野氏が印象に残った言葉と,桜野氏自身が感じた言葉をここに書き留めておきたいと思います.

「完成された庭というものはない.毎日の花がら摘み,球根を掘りあげる作業などの「過程」に意味があり,フォーシーズンの移ろい,美しさに意味がある.その結果どうなるかは意味がない」(ベス・チャトー)


「ガーデンを撮る」ということ

自然を撮っているようでいて,実は人の軌跡を撮っている.そこにあるのはその人の何十年かの人生をかけて作ったもの.


この日の講演会は,なんだかとても濃い時間を過ごした気持ちになりました.

長々書いてしまいましたが,ここまでおつきあいいただいた方,ありがとうございますnose5

コンデジを使いこなす

2012-04-09 | ノンジャンル
土曜日の午前中,新宿御苑に行って,JLF主催の写真撮影勉強会に参加しました.

講師は午後の講義も兼ねているガーデンフォトグラファーの桜野良充氏.

他の参加者は一眼レフが多かったのですが,やまめと数人の方はコンパクトデジカメで,全員,何とか自分のカメラを使いこなしたいと思う人々が集まりました.

シャッタースピードの調整も出来ないまま,露出(=絞り?)や画角についてとか,逆光,順光,前ボケ,後ろボケ,レフ板による「光をまわす」こととか,色々と教えてもらいました.

オート機能に助けてもらいながら,細かな技は一眼レフに及ばないものの危なげない程度に撮れるようになった気がします.

一番印象に残ったのは,花を撮影するときは逆光が一番きれいに見えるので,プロは逆光を利用し,花の中に影を作らないように撮影するということ.

雑誌やカタログの花の写真は花の中に影がない・・・なんて思ったことなかったので,びっくりしました.

また,花は陽が当たっている状態を撮影した方がいいものだと思っていたのですが,これも逆だったので,へぇ~lightという感じでした.

プロは朝や夕方の2時間くらいを狙って撮影することもしばしばで,庭などは自分が光や天候に合わせなければならないので,いい条件に出会えるように通うことも大切だそうです.



up一番最初に撮った写真.

ユキヤナギ,レンギョウ,キブシ,サクラ・・・春の花たちの勢いを感じてパチリ.



桜の下に入り,花を逆光で撮ろうと試みたのですが,花びらの中に影と明るい部分が出来てしまってイマイチ.



なるべく花の中の光の状態が均一になるようにパチリ.

後ろまでピントがバッチリ合うのはコンデジの特徴らしいです.

知らなかった・・・・



構図を考えながら・・・



手前に枝を入れ,奥のビル,空まで,画面に入る比率を考えて・・・



風にゆれるトサミズキもパチリ.

最後は午後の講演会で構図をほめられた一枚.



寝っ転がる直前の低い姿勢でパチリ.

伸びてくる草の生命力を表現してみました.



光と構図の大切さを教えていただきましたnotepencil