枯雑草の写真日記2

あの懐かしき日々を想いながら・・つれずれの写真日記です。

三代を生きてきた駅舎、北九州門司港駅

2010-03-28 | 古いもの、昔の人
          門司港駅は、JR鹿児島本線の起点。昭和17年、関門トンネルが開通するまで
          は、下関との関門連絡船の中継駅として、また九州の玄関口として賑わった所
          です。
          現在の駅舎は、大正3年(1914)に建てられたもので、当時は門司駅でした。
          一見、石造りにも見えますが、木造建築でネオ・ルネッサンス様式と呼ばれる
          デザイン。ドイツ人技師の指導の元に建てられたといいます。駅舎としては
          初めて国重文に指定されています。
          大正、昭和、平成の三つの時代を生き抜いてきた駅舎。
          太平洋戦争の時は、大陸へ、南方へ多くの兵隊を送り出し、後には引き揚げ者
          をむかえた駅でもありました。
          終戦時にあった広島駅が、この駅とよく似ていたため、原爆の後を舞台とした
          映画に登場したこともあるといいます。そう言われて昔の広島駅を思い出します。
          百年近い長い間、残されてきたのは何故か・・。それは、門司駅から門司港駅
          に変わり利用客が大幅に減ったため改築の必要が無くなったためだ・・とも言わ
          れています。
          終点のホームから、駅舎を通って出てくる人は何処か楽しそうです。
          多くの人は駅前から拡がる門司港のレトロ地区を楽しむ観光客に違いありません。























































































尾道の坂を上って、摩尼山西国寺

2010-03-24 | 古い神社や寺で
          広島県尾道は、川のように狭い尾道水道を隔てて向島と向き合い、山を背にした
          坂の街です。海岸から山に上る幾筋もの坂に沿って多くの寺が軒を接しています。
          街のシンボルとしての千光寺、国宝の寺浄土寺が有名ですが、最大の規模を
          持つ大寺はこの西国寺でしょう。
          寺域は三段になっています。緩い坂道を上がると仁王門、急な石段を上って金堂
          のある二段へ、さらに石段で三段の本堂、そしてその上、山の斜面に三重塔が
          あるのです。上る道、振り返ればいつも尾道の街と尾道水道が輝いています。

          摩尼山西国寺(真言宗)。天平年中、行基の開基と伝えます。平安時代、西国一
          の大寺として栄えたこともあったといいますが、現在残る堂宇は、火災の後、
          室町時代以降に再建されたものです。
          金堂は、室町時代の初め1386年、守護大名山名氏により復興されたもの。
          近くの浄土寺や福山明王院本堂などと共通の平面をもつ五間四方、和様を主と
          した折衷様のお堂。広い向拝と正面全面の蔀戸が特に美しい。(国重文)
          寺の一番奥、高所に聳える三重塔は、1429年、将軍足利義教などの寄進に
          より建立されたもの。石製基壇の上に直接立つ、純和様の塔。上重の逓減率が
          大きく、見上げると壮大な印象を受けます。細かく見ると、尾垂木の上、軒の持ち
          送りの華麗な装飾など、細かな配慮も感じる優れた三重塔です。(国重文)
          仁王門は、仁王とともに安土桃山時代のものといいます。二階部分が低く、重厚
          な印象の門です。
          山の高みに向って一歩一歩上るお参り。そして帰りは前面いっぱいに尾道の街
          と瀬戸の水道を見て下る。心満たされた西国寺への道行きでした。











































































二階の室から港に続く狭い路地を通って

2010-03-07 | 古いもの、昔の人
          窓の外の風は冷たそうだけど、その室には、ふっと春を思わせる陽が入って
          きていました。
          家々の屋根の向こう、港を思わせる海の顔がちらちらと・・。
          隣の部屋には、場違いのようなモダンな顔をした、お姫さまが侍っておられたりして。
          そう、ここはお人形をところ狭しと飾ったお店やさん。
          そんな店の隣には、これも何やさんだかよく分からない雑貨やさん風の店とか。
          その季節だから、店の奥に飾ってあるお雛さまも見えますね。
          その隣は保命酒の酒屋さんや、潮待ちの喫茶店。
          それから、狭い路地を通って、決まってバイクが置いてある角を曲がると、
          やっと海が見えてきます。
          ぱっと眼前に開ける海の傍、その香り・・。
          瀬戸の海の古い港町の春近い午後でした。