枯雑草の写真日記2

あの懐かしき日々を想いながら・・つれずれの写真日記です。

尾道の向島の港のバス待合所、ある思い・・

2010-05-28 | 海からの声を聞く
           大林宣彦監督の1995年の映画「あした」
          (原作は赤川次郎「午前0時の忘れもの」)
          「呼子丸という小型客船が尾道沖で遭難。絶望が伝えられた三ケ月の後、
          家族のもとに「今夜午前0時、呼子浜で待っている」というメッセージが届く・・」
          ご覧になった方は少ないでしょうけど・・。
          その呼子丸の待合所として使われたロケセットが、今は向島の港のバス待合所
          としてあるというのです。
          尾道の港から水道をフェリーで渡ります。ほんの5分ほどの距離。
          その建物はありました。待合室の壁には、ロケセットとして使われた時の写真
          とともにこんな言葉が・・
          「この「浜の待合所」のセットを「バスの待合所」として使っていただく・・それは
          映画の記念碑はスクリーンの中にのみ残れば良いという大林監督の考えに
          よるもの・・」
          バスの待合所には、一人の老婆の姿が・・それだけです。大林監督の思いとは
          別に、そこで見たものは、波間から忽然と現れる呼子丸の姿に目を凝らした
          親や兄弟や恋人の、その姿の背後にあった壁であり、椅子であり、窓であり・・
          そんなものでした。
































































街の郊外の美しき孤塔、倉敷 遍照院三重塔

2010-05-20 | 古い神社や寺で
           岡山県倉敷市、神遊山遍照院(真言宗御室派)。
          平安時代の985年足高神社の神宮寺として開山したと伝える。
          白壁の土塀に囲まれて、本堂、客殿、四国八十八ケ所お砂踏み霊場などが
          ありますが、三重塔は塀の外、街の中に出張させられた形で立っているのです。
          寺の開山時にも三重塔があったと言いますが、今の塔は室町時代(1416年)の
          再建。岡山県に残る三重塔としては、3番目に古いもの。国重文指定。
          高さ21m。和様に唐様を採り入れた様式と言われます。軒の出が深く、屋根の
          勾配や反り具合、各層の逓減率など総て程よいと思わせられる見事な形を
          持っています。
          辺りは倉敷の市街地を外れた郊外の平地であり、離れた場所からもその美しい
          形を見ることができるのです。
          細部に目を向けると、室町時代特有と言われる木鼻、尾垂木上の華麗な持送り
          など。軒端の飾り瓦は通常の鬼瓦ではなく、梵字を彫った棟瓦となっています。
          地元の方には、或いは失礼かもしれませんが、観光地でもない、それほどの
          大寺でもないこの場所で、これほど見事な三重塔に出合えるとは・・。
          驚きの体験となりました。