枯雑草の写真日記2

あの懐かしき日々を想いながら・・つれずれの写真日記です。

旧遷喬尋常小学校校舎、その1 その外観

2017-09-27 | 古いもの、昔の人
          岡山県真庭市鍋谷に残る旧遷喬(せんきょう)尋常小学校校舎。
          遷喬小学校は、明治7年久世村にあった津山藩の御蔵(米倉庫)を校舎と開校されました。
          校名は中国の古典詩経の一節「幽谷より出でて喬木に遷る(のぼる)」より採られたと伝えます。
          増加する生徒数に対応するため、新校地を鍋谷とし明治40年に完成したしたのが、今に残る校舎です。
          設計は岡山県で多くの公共建築を手がけた江川三郎八が担当。建築材料として近隣の国有林
          の優れた材木が使用されたと言われます。
          外観はシンメトリーの構成で、中央の玄関の左右は少し張り出した破風で飾られその上に
          大きな切妻屋根がのる特徴あるデザインとなっています。
          校舎をぐるっとまわれば、随所に巧みな和洋折衷の技が見受けられ、その後の学校建築に
          多くの影響を与えたものと感じられます。





































































故郷の昔の酒造蔵を覆うもの

2017-09-05 | 古いもの、昔の人
          今日はまた、空は青く、雲は白いこと・・
          そこには、もう何年も前に営みを止めた酒造蔵(さかぐら)があって、
          その半ば落ちかけた漆喰の白壁の上を
          蔦などの植物たちが覆い尽くさん勢いです。
          蔵に続く倒れかかった木小屋や築地塀もまた、
          植物は遠慮することがありません。
          どういう訳か今年は随分地味な色をしていますが、
          去る夏の日、去る秋の日・・
          驚くほどの豊富な衣装を纏うこともあるのです。






































































備後福山、明王院本堂・五重塔を訪ねる

2017-09-05 | 古い神社や寺で
          中国地方には見事な五重塔や三重塔を持つ寺が多くあります。山口の瑠璃光寺、
          尾道の向上寺、美作の長福寺など。この明王院もその一つ、比較的近場でもあり
          よく足を運びます。何度行っても、新たな発見と感動を戴けます・・それが楽しみ。

          明王院。広島県福山市草戸にあり、正式には中道山円光寺 明王院。
          今は、真言宗大覚寺派の寺ですが、その前身、常福寺は、全国で実に多くの寺
          が開かれたと伝える不思議の年、大同2年(807年)弘法大師の開基という古刹。
          江戸時代に現寺名に改称。
          本堂は内海最古と言われる1321年の建立、隣の五重塔は、南北朝時代の
          1348年の建立。いずれも国宝。
          五重塔は純和様、木組みは三手先組、軒下は二軒繁垂木。下から見上げたとき
          の五層の軒が作り出す朱い襞模様が、実に美しいのです。
          ただこの度は、その朱の褪色、汚れが目立ちました。残念なことです。
          本堂は大仏様に禅宗様を加味した折衷様の代表的な建築と言われます。
          正面の広い向拝、前面を飾る桟唐戸の美しさは私にとっては新たな発見でした。

          今は、芦田川の河畔の寂しい小丘の中腹に位置しますが、その昔は、瀬戸内海の
          入江が開け、この寺の前は、天然の良港として栄えたといいます。
          港の人々の浄財によって建てられたと伝える朱塗りの五重塔は、沖を行く船からも
          人々の願いと行路を示すように良く見えたことでしょう。・・明るい陽光のもと。
          いつまでも大事に守っていきたいものです。