鳥取県の西端、伯耆大山(だいせん)の麓、大山寺阿弥陀堂があります。
養老2年(718)、山岳信仰の場として開かれたこの地。その後860年に天台宗
に改まり、神仏習合の修験の寺として平安時代から江戸時代にかけて、多くの
堂宇と僧を擁し栄えたといいます。この阿弥陀堂は、今に残る最も古い建物で、
天文21年(1552)、山津波で崩壊した旧堂の木材などを利用してこの地に
再建されたもの。
5間四方単層宝形造、柿葺き。和様に花頭窓など、若干の禅宗様が採り入れ
られているように思えます。建物の大きさに比べ太い柱が醸し出す壮大なお堂
の印象に圧倒されるようです。
鬱蒼とした大山山麓の杉の森の中、大気に含まれる芳醇な水が壁や柱の命を
躍動させるのでしょう。ある時は森の緑を映し、またある時は古の朱い壁の名残り
を浮かびあがらせています。
国重文指定。建立の年代が下るため国宝に指定されていないと思われますが、
最も国宝に近い重文・・と思える御堂です。
このお堂、二度目のお参りです。大山への登山道の傍、長い参道の向こうに
柿葺きの白い屋根が見えてくると、懐かしさに心が躍るようでした。
ちょうど予約の団体の参拝待ちで、扉が開かれ、本尊の阿弥陀三尊を拝する
こともできました。幸運な再訪となりました。










