枯雑草の写真日記2

あの懐かしき日々を想いながら・・つれずれの写真日記です。

神社の森に潜む・・六條八幡神社 三重塔

2012-07-28 | 古い神社や寺で
          六條八幡神社は、今は神戸市に属す北区山田町にあります。
          この地は神功皇后の行宮が所在したという伝説も残る霊地であるとも・・
          10世紀末、八幡宮が祀られたと伝えますが、鎌倉時代の1123年領主の
          六條判官源為義が京都自邸の左女牛八幡宮を勧請、合祀し栄え、六條八幡宮
          と称するようになった言われます。
          神社本殿向って右側の樹木に囲まれた三重塔は、室町時代の1466年の建立。
          塔は基壇上に立ち、高欄の無い縁をめぐらす。高さ19.1m、檜皮葺。
          様式は和様。中央間板唐戸、脇間連子窓、中備えは三間とも台形の撥束の
          間斗束を置く標準形式。軒は二軒繁垂木。二層の細縁の高欄が美しいもの。
          軒の反りが強く、上層になるほど小さくなる優美な形に室町中期の特徴が見られる
          と言われます。

          神戸市内とは言え、この辺りはまだ田園の面影を強く残します。神戸電鉄箕谷駅
          から3.2k。歩くか1時間に1本ほどのバス利用です。
          神戸近郊の格好のハイキングコースも近く。中高年の歩こう会の団体にもお会い
          しました。
          神社の横の樹木の間に半ば隠れるように立つ三重塔。神仏混淆の名残りで神社
          にある塔は肩身が狭いのか・・(神社に残る塔は兵庫県で3箇所)
          しかし、この塔は、軒の端まで微細な心が行き届いた美しい塔だと思わされます。
          神社の片隅でいつまでも大事にされますよう・・祈らずにはおれませんでした。











































































苔ともみじの庭、雨・・宇野千代の生家

2012-07-23 | 古いもの、昔の人
          強い雨は昼間でも隅々を暗く染めていました。
          苔ともみじの庭です。
          水滴に濡れきった杉苔と雨に輝くもみじの陰に
          石臼の手水鉢や古材でつくられたベンチが潜んでいます。
          ここは、岩国市川西にある宇野千代の生家。
          宇野千代は明治30年生まれの小説家。
          平成8年、98歳で没した。
          昭和45年、千代により、その生家と庭が修復された。
          今は記念館になっています。
          「苔のひとつひとつをご自分で植えなさってのー・・」
          案内の管理人の女性は言葉が豊富です。
          私は、黙って雨の庭に浸るのみです・・




























































神戸近郊の森を越えて・・如意寺、その2 三重塔

2012-07-19 | 古い神社や寺で
          如意寺、三つ目の古いお堂は本堂跡の東側にある三重塔です。
          南北朝時代の1385年の建立。兵庫県では一乗寺の三重塔に次ぐ古い塔。
          高さ21.33m、本瓦葺き。(国重文指定)
          少しの高台、礎石の上に立ち高欄のない縁をめぐらせる。
          深い軒の出。少し離れて眺めるとその均勢のとれた塔形に魅せられます。
          様式は純和様。中央間、板唐戸、脇間、連子窓、中備えは三間とも間斗束、
          軒は二軒繁垂木といったほぼ標準的な仕様。
          軒の組物はやや荒削りなように思えますが、その素朴さが魅力でもありましょう。
          塔近くより仰げば、軒下に雄大な世界が現出します。

          日曜日でしたが、参拝の人に会うこともありませんでした。
          緩やかな山裾に沿った境内は静かで、心安らぐ場所を戴きました。
          来た時と同じ、森の中の道を通って住宅地の街の駅まで行きました。 
































































神戸近郊の森を越えて・・如意寺、その1 文殊堂、阿弥陀堂

2012-07-15 | 古い神社や寺で
          比金山(ひきんさん)如意寺(にょいじ:地元では「にょいでら」)は、神戸市西区
          にある天台宗の寺です。本尊は地蔵菩薩。 
          兵庫県南部一帯を中心に多くの寺の開基と伝えられる7世紀頃の天竺(インド)
          の人、法道仙人。この寺でもその伝説を持ちますが、13世紀の初め頃、
          願西上人によって開かれたとするのが妥当のようです。
          山腹の浅い谷に沿った境内に、昭和二十年代に老朽化により解体され礎石のみを
          とどめる本堂を中心に西に常行三昧堂(現阿弥陀堂)、東に法華堂(現在は三重塔)、
          南に文殊堂を置く伽藍配置は初期天台宗独自のものとも言われます。
          ・阿弥陀堂(常行三昧堂)
          常行三昧という天台宗の修行のためのお堂。15世紀と17世紀に大きな改修を経て
          いますが、元々は鎌倉時代の初め(12世紀末)の建物。神戸市内最古の建築です。
          (国重文指定)入母屋造、とち葺の上に銅板を葺いています。ほぼ三面を覆う蔀戸
          が何とも美しいお堂です。
          ・文殊堂
          室町時代の1453年の建立と推定されています。(国重文指定) 
          入母屋造、本瓦葺。ほぼ四面を覆う格子戸が見事です。

          神戸市の近郊、瀟洒な住宅地の家並。神戸地下鉄、西神南駅から約1.5kの山の
          中の道を抜けると突然、如意寺が現れます。門前の石標には
          「如意寺地蔵尊往生極楽護持道・・」と。
          街から僅かの距離を経ただけなのにここは別世界。
          道標に刻まれた意味のいくらかもわかろう・・と思わせられる境内でした。
          次回は如意寺の続き。三重塔へ・・





































































檜皮(ひわだ)の屋根の妙・・虎渓山永保寺 その2

2012-07-05 | 古い神社や寺で
          虎渓山永保寺、開山堂、その続きです。
          開山堂は昭堂(礼堂)と祀堂の二棟構成になっています。これは既に記したこと。
          昭堂は、桁行き三間、梁間三間、入母屋造、檜皮葺き。
          純粋な唐様建築の代表的なものと言われます。
          祀堂は、桁行一間、梁間一間、裳階(もこし)付の入母屋造、檜皮葺き。
          昭堂の柱上の組物は三手先組、扇垂木、扉は花狭間の窓を設けた桟唐戸。
          (これらは典型的な唐様様式。「その1」の写真をご覧いただければ・・)
          素晴らしい御堂ですが、そのなか一際魅了するのは、改修を終わったばかりの
          屋根、檜皮の表情だと私には思えました。

          檜皮葺き・・ わが国の竪穴住居に始まる屋根は、茅葺き(草、藁など)が主体
          で、やがて樹皮や割板なども併用されるようになったと言われます。
          6世紀の仏教の伝来は、大陸からの優れた建築工法をもたらし、一部の寺では
          瓦葺きも出現します。しかし、多くの寺院の建物は日本古来からの檜皮や板を
          葺いたものであったようです。大陸からの技術の刺激を受けて、深化、発展し
          日本独自の檜皮葺き(あるいは柿(こけら)葺き)として精華したと言われています。

          この尋常ならざる檜皮の妙に見惚れさせられます・