【りぼん】
作・演出 渡辺えり
2025/1/14 本多劇場
「渡辺えり古希記念2作連続公演」と銘打った今回の公演。
この1月で渡辺えりさんは70歳になったらしい。
同じ山形県出身と言うことで渡辺えりさんのファンである友人と一緒に下北沢に出かけて行く。
2作とは
「鯨よ!私の手に乗れ」
「りぼん」
以前に「鯨よ~」は観たので、
今回は「りぼん」を観ることにした。
本当は2作とも観たかったのだけれど。
休憩迄の前半は
ついて行くのがやっとなくらいの目まぐるしい展開。
最初に舞台に現れるのは、ものすごい人数のセーラー服やYシャツ姿の中学生たち。
山形からの修学旅行生らしく、戦後の横浜にいるようだ。
その軍団の中にセーラー服姿の渡辺えりさんやシルビア・グラブさん、大和田美帆さんや室井滋さんがしれっと紛れてる。
そこからはいろんな時代、出来事が目まぐるしく変わり、
登場人物も役者さんたちが次々と何役も演じるのでちょっと混乱する。
ただ一つ変わらず出てくるのが水色のリボン。
それぞれの誰かの何かの証の象徴的なもののよう。
戦後の横浜赤レンガ倉庫
そこで生まれた子供の人生
関東大震災時の被服廠(ひふくしょう)跡地
震災で別れ別れになった恋人たちの行く末
同潤会アパートの取り壊しが決まり、そこに住む人々の様々な想い。
国の定めた公娼制度のもと、生きるために米兵に身をまかせざるを得なかった女性たちの悲しみやつらさ。
希望を託されたかのような海棠の木
前半でバラバラに起こっていた事件や出会いや別れが伏線になっていて、
休憩後の後半でそれが一気に回収される。
戦争や災害で失った大事な大事なものは計り知れないくらいたくさんで、
「失われた命」とか「愛する人との別れ」や
いつまでも残り続ける無念の思いとか、
踏みにじられた尊厳とか
信じられないくらいの切なさとか、
前半の一つ一つの場面でいろんなところに置かれたキーワードみたいなものが
むくむく起き上がってくるようで、わ~っとこみあげてくる思いが胸を打つ。
隣にいた感受性豊かな友人は号泣している。
こんな表現があるなんて、渡辺えりさん、すごい!
「霧」という文字を頭上に掲げた霧役のラサール石井さんは、
この日の夜に上演される「鯨の~」にも霧の役ででるらしい。
しかも、この「りぼん」の中の霧が「鯨よ~」の中での伏線になっているという。
夜の公演の残席がある、
リピーターチケットで割引がある、
とカーテンコールで渡辺さんがおっしゃる。
観たい・・・
でもさすがに昼夜それぞれに3時間くらいの舞台を続けて観る気力と体力(財力も)が無く、
二人で劇場を後にする。
渡辺さんは昨年最愛のお母さまを亡くされた、とのこと。
そんな思いもこの舞台に込められているのかもしれない。
感動が冷めやらず、
電車の中でひとしきりしゃべったのにまだ足りなくて、
地元の駅に着いてから駅前のサイゼリヤでまたしゃべる。
新年初観劇は想像以上の感動だった。
幸先のいい幕開けだ。
今年も楽しい舞台に巡り合えますように!
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