【美しきものの伝説】
作 宮本 研
演出 鵜山 仁
於 俳優座劇場
友人の知人(尾身美詞さん)が出演すると言うことでお誘いいただいた舞台
新劇交流プロジェクトと銘打った
文学座・文化座・俳優座
民藝・青年座・東演・青年劇場
の合同公演
ここにフリーの渡辺美佐子さんが加わる
この舞台をもって渡辺さんは舞台女優を引退なさるという
そのことを新聞記事で知ったのはお誘いを受けてから
行けてよかった
私にとっては渡辺さんは若いころに見たテレビドラマの優しいお母さん役のイメージ
優しく、包容力があり、凛としたお母さんの優しい声と笑顔を思い出す
今回の舞台は大正時代
激しい思想統制の中
演劇に、革命に、愛に、と
時に命をかけて自分の意志を貫き生を燃焼させた人たちのそれぞれの物語
メインは大杉栄さんと伊藤野江さんだったように思う
この時代日本が進んでいこうとしている方向は
今のロシアと変わらないのでは、と思ったりもする
ただ、自分たちの信じる道を進んだだけで命を落としてしまうことを 誰も疑問に思わなかった時代が日本にもあったのだ
いつ何時権力者の手によってそんなことが起こるかわからない、と言うことを思うと背中がうすら寒くなる
渡辺美佐子さんが演じたのは
当時のトップ女優、松井須磨子
島村抱月が病気で亡くなったあと、後追い自殺をすることで愛を貫く
ただ、渡辺さんが舞台に現れたのは第一部のほんの少し
「カチューシャの唄」を歌い、恋に落ちるシーンがほんの少しだけ
島村抱月が亡くなるときとか、自死する前のシーンとかは
他の人のセリフの中で名前が出るだけ
もう少し見たかったな~とちょっと残念
勉強不足で登場人物の愛称がピンと来なくて
ときどき誰が誰だかわからなくなったりした・・・
大杉栄がクロポトキン
平塚らいてうがモナリザ
作曲家の中山新平が音楽学校
などなど
後で解説を読んで
あ~なるほど~と納得したり・・・
大正ロマンという言葉からは
のどかで美しい時代を想像するけれど
昭和の軍国主義へのレールの上を確実に進んでいってたんだな~
そしてこの令和の時代はどこに向かっていくのだろう
劇場はコロナの前と変わらない賑わいを取り戻しつつある
コロナでいろいろな価値観が変わってしまった今、
穏やかで明るい未来を願わずにはいられない
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