カズオ・イシグロ氏の短編集「夜想曲集」から3篇を選び出し、長田育恵さんが脚本を手がけたこの作品。
このところの長田さんのご活躍には目を見張るものがある。
「老歌手」「夜想曲」「チェリスト」
今回選ばれたこの3篇の物語のテーマは
才能への憧れ、遠い夢、誰かを愛すること・・・、と長田さんはおっしゃている。
誰もが一度は心に抱く感情だ。
それぞれのお話は独立したものだけれど、登場人物が微妙にリンクしていて、次の物語への余韻を残し、
すっと受け渡される。
前のお話の続きなのかなあ、と思ったらそうでもなかったり、でもちょっと伏線があったり。
東出昌大さんが演じる、ヤンというチェリストの青年がややストーリーテラーっぽい。
旧共産圏出身っていう設定からか、時に純粋で時に無神経で・・・。
1話目の「老歌手」に出てくる往年の歌手、トニー・ガードナーを演じる中嶋しゅうさんが渋い
この老歌手の若く美しい妻リンディを演じるのは、何年たっても美しい安田成美さん。
ホントに美しい
二人はとても愛しあっているのに、もう一旗あげたいトニーは、新しい若い妻を迎えるために、
離婚を計画し、最後のセレナーデをゴンドラから妻にむかって歌おうとしている。
ヤンはその伴奏を頼まれる。
この歌が終われば夫が自分のもとから去っていくのを妻も知っていて・・・、という切ないストーリー。
トニーの、夢を取るか愛する人を取るかの葛藤が痛いくらいに伝わってきて、コテコテの日本人の中嶋さんが
渋い外国人に見えてくる。
夢を追いかける愛する人の背中を押す妻の強がる姿がこれまた切ない。
大人のラブストーリーだ。
続く「夜想曲」はちょっとコミカル。
実力はあるのに、全然売れないサックス奏者のスティーブンを近藤芳正さんが演じる。
こともあろうに、売れない理由は「顔」がいけない、なんて言われて、半ば強制的に整形手術を受けさせられる。
顔がダメ、って言われる人の役を演じるのもちょっとお気の毒な気もする。
手術後の療養先である高級ホテルで、先に登場したそもそも美しいリンディも手術を受け療養中であることを知るスティーブン。
才能がないのに有名な彼女に反感を持っていたが、しだいに距離が縮まり・・・。
手術後の2人、ってことで二人ともミイラのように包帯ぐるぐる巻き。
なんとなくへそ曲がりだけれど実はわりと素直なスティーブン、屈託ないリンディに振り回されてる様がなんとも楽しい。
強気なマネージャー、リリー(入来茉里さん)に顔がよければすぐにメジャーになれる!なんて言われちゃったり、
と踏んだり蹴ったりのスティーブンだが、結局どれくらいステキな顔になったのかはとうとう見られなかったのが、とっても残念
そして、最後にヤンのお話「チェリスト」
旧共産国を出てまもなくの頃、イタリアで音楽家を目指していたヤンの前に、
自らを「高名な音楽家」と名乗る女性エロイーズ(渚あきさん)が現れ、個人教授を申し出る。
何とも神秘的というか胡散臭いというか・・・。
「天才の世界」をヤンに「私たちの場所」と淡々と言ってのける彼女に、「今見えた気がした」と叫ぶヤ純粋なヤン。
残念ながら、私には死ぬまで見えることが無い世界とは思うけれど、ある部分での天才っていう人は確かに存在すると思う。
なんとも純粋な感じの青年に東出さんはぴったり。
後に天才を語ったとしても、何の嫌味もないことだろう。
CMなどでは、甘いかわいらしい話し方の安田さんが、ちょっとセレブな大人の女性を凛と演じる。
この方がずっとすてき
本当にお顔が小さく、長身に華やかな衣装が映える。
オードリー・ヘップバーンを思わせるくらい。
それぞれのストーリーは人の心の機微をそれはそれは繊細に表していて、
難しいなりに胸が苦しくなる。
カズオ・イシグロさんの小説は読んだことが無いけれど、原作も繊細なことだろう。
天王洲にある銀河劇場は、私にとってはアクセスが今一つなので、いつもは敬遠しがち。
でも、行ってよかった
この日お付き合いしてくれた、最初に勤めた会社の同僚は私よりもさらに家が遠くて、ちょっと申し訳ない。
昼間の公演だったので、帰りは銀座でお茶をしたり、焼き物に造詣の深い彼女に誘われて、ギャラリーをのぞいたり・・・。
彼女が一緒でなければ、まず足を踏み入れない場所だ。
芸術三昧(?)の有意義な1日を過ごさせていただいた。
来月も長田さん脚本の舞台を一緒に見る予定
また来月、よろしくお願いします
このところの長田さんのご活躍には目を見張るものがある。
「老歌手」「夜想曲」「チェリスト」
今回選ばれたこの3篇の物語のテーマは
才能への憧れ、遠い夢、誰かを愛すること・・・、と長田さんはおっしゃている。
誰もが一度は心に抱く感情だ。
それぞれのお話は独立したものだけれど、登場人物が微妙にリンクしていて、次の物語への余韻を残し、
すっと受け渡される。
前のお話の続きなのかなあ、と思ったらそうでもなかったり、でもちょっと伏線があったり。
東出昌大さんが演じる、ヤンというチェリストの青年がややストーリーテラーっぽい。
旧共産圏出身っていう設定からか、時に純粋で時に無神経で・・・。
1話目の「老歌手」に出てくる往年の歌手、トニー・ガードナーを演じる中嶋しゅうさんが渋い
この老歌手の若く美しい妻リンディを演じるのは、何年たっても美しい安田成美さん。
ホントに美しい
二人はとても愛しあっているのに、もう一旗あげたいトニーは、新しい若い妻を迎えるために、
離婚を計画し、最後のセレナーデをゴンドラから妻にむかって歌おうとしている。
ヤンはその伴奏を頼まれる。
この歌が終われば夫が自分のもとから去っていくのを妻も知っていて・・・、という切ないストーリー。
トニーの、夢を取るか愛する人を取るかの葛藤が痛いくらいに伝わってきて、コテコテの日本人の中嶋さんが
渋い外国人に見えてくる。
夢を追いかける愛する人の背中を押す妻の強がる姿がこれまた切ない。
大人のラブストーリーだ。
続く「夜想曲」はちょっとコミカル。
実力はあるのに、全然売れないサックス奏者のスティーブンを近藤芳正さんが演じる。
こともあろうに、売れない理由は「顔」がいけない、なんて言われて、半ば強制的に整形手術を受けさせられる。
顔がダメ、って言われる人の役を演じるのもちょっとお気の毒な気もする。
手術後の療養先である高級ホテルで、先に登場したそもそも美しいリンディも手術を受け療養中であることを知るスティーブン。
才能がないのに有名な彼女に反感を持っていたが、しだいに距離が縮まり・・・。
手術後の2人、ってことで二人ともミイラのように包帯ぐるぐる巻き。
なんとなくへそ曲がりだけれど実はわりと素直なスティーブン、屈託ないリンディに振り回されてる様がなんとも楽しい。
強気なマネージャー、リリー(入来茉里さん)に顔がよければすぐにメジャーになれる!なんて言われちゃったり、
と踏んだり蹴ったりのスティーブンだが、結局どれくらいステキな顔になったのかはとうとう見られなかったのが、とっても残念
そして、最後にヤンのお話「チェリスト」
旧共産国を出てまもなくの頃、イタリアで音楽家を目指していたヤンの前に、
自らを「高名な音楽家」と名乗る女性エロイーズ(渚あきさん)が現れ、個人教授を申し出る。
何とも神秘的というか胡散臭いというか・・・。
「天才の世界」をヤンに「私たちの場所」と淡々と言ってのける彼女に、「今見えた気がした」と叫ぶヤ純粋なヤン。
残念ながら、私には死ぬまで見えることが無い世界とは思うけれど、ある部分での天才っていう人は確かに存在すると思う。
なんとも純粋な感じの青年に東出さんはぴったり。
後に天才を語ったとしても、何の嫌味もないことだろう。
CMなどでは、甘いかわいらしい話し方の安田さんが、ちょっとセレブな大人の女性を凛と演じる。
この方がずっとすてき
本当にお顔が小さく、長身に華やかな衣装が映える。
オードリー・ヘップバーンを思わせるくらい。
それぞれのストーリーは人の心の機微をそれはそれは繊細に表していて、
難しいなりに胸が苦しくなる。
カズオ・イシグロさんの小説は読んだことが無いけれど、原作も繊細なことだろう。
天王洲にある銀河劇場は、私にとってはアクセスが今一つなので、いつもは敬遠しがち。
でも、行ってよかった
この日お付き合いしてくれた、最初に勤めた会社の同僚は私よりもさらに家が遠くて、ちょっと申し訳ない。
昼間の公演だったので、帰りは銀座でお茶をしたり、焼き物に造詣の深い彼女に誘われて、ギャラリーをのぞいたり・・・。
彼女が一緒でなければ、まず足を踏み入れない場所だ。
芸術三昧(?)の有意義な1日を過ごさせていただいた。
来月も長田さん脚本の舞台を一緒に見る予定
また来月、よろしくお願いします
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